『新撰21』で御一緒した藤田哲史さんの丁寧に見る俳句の現代五感に顔を思わず赤らめたり、しんみりしたり。
私は、藤田哲史さんの鷗(かもめ)の俳句が好きだ。
共鳴句とコメントを。
冬鷗何の忘却も快く
たいていの冬は生物の活動を停滞させるのだが、生きることの意味を感じるの大半は、一生懸命に生きる時は、この厳しい冬なのではないだろうかと私は思う。鷗たちは、一生懸命に漁の船が引き揚げる魚たちを狙って船に寄せて来る。まるで鷗は一生懸命という本能なのかとも。作者は、どんな忘却も快くあるがまま生きる冬鷗に魅せられる。
啓蟄や光が示す宙の雨
フォトグラフは、光の画である。作者の光を言葉によって捉え直したのに瞠目。土中から這い出す虫たちの啓蟄に雨が太陽の光を纏い宇宙を成す。
蟷螂にコップ被せて閉ぢ込むる
蟷螂(かまきり)にコップを被せて観察する。その発想と行動に人間の残忍さに勝る好奇心が面白い。
戯れに裸撮りあふ関係なり
いーなっ。いーなっ。現代を己の五感で感受する。それもひとつのヒストリー。
朝曇シャワーカーテン貼りつく背
いとしさが視覚スケッチできる俳人ってすごくないっ?!
卓上の梨が詩集に置き換わる
生活のうつろいを俳句日記にする。大切な宝物です。
鯖雲が今日のさぼりの理由です
そーなんだ。
夜明けまであとひとときの穭です
ふーん。ちゃんと睡眠確保して欲しいが、こんな素敵な俳句ができるなら寝不足もいいね。
ファクシミリ刷られて落ちる猟期です
言葉の狩人かな。
朴落葉一枚拾ふ会ひたいとき
このセンスが私も欲しい。
躊躇無く人のマフラーして君は
きゃっ。いーな。いーな。私も恋活しよっ。
マスカットほのかに種の見ゆるかな
日常は発見の宝箱だ。
眩しさはわつと散らばる冬鷗
万物に降り注ぐ太陽の光をはね返すほど白く懸命に躍動し飛翔する冬鷗が弾けて散らばる瞬間を言葉で永遠にとどめる俳人の現代五感をこれからも丁寧に生きて欲しい。
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