平成26年 新春の御慶びを申し上げます。
創刊2年目の「-blog俳句空間-戦後俳句を読む」をどうぞよろしくお願いいたします。
さて、新年最初の号にふさわしく豪華コンテンツとなりました。昨年に引き続き俳句帖として新年の「歳旦帖」に多くの作品をご寄稿いただきました。10句作品では、第二回攝津幸彦賞で入賞された花尻万博さん、佐藤成之さん、「新撰21」に入集された豊里友行さんの作品。クリスマス休暇明けの小津夜景さん。また今号より竹岡一郎さんが連載で作品に取り組まれるということでそのシリーズ第一弾をお届けします。筑紫磐井相談役は新たに正木ゆう子論がスタート。 大井顧問のブログ(大井恒行の日日彼是)も元日から更新されています。
華々しく壮観な平成26年新年号となりました。
ご愛読いただけるよう気を引き締めて編集に当って参りたいと思います。
筑紫磐井
○明けましておめでとうございます。
○「BLOG俳句空間――戦後俳句を読む」が始まってからちょうど1年、今回で折り返し点を迎えたことになる。1年間の総ざらえで、1年間の活動を活字にして見ようと思い、執筆参加者の同意を得て新しい冊子の準備をしている。
電子媒体と活字媒体を合致させるということは意外に難しい点もありそうである。
電子媒体と活字媒体を合致させるということは、電子媒体の全参加者と活字媒体の全参加者を合致させるということであり(一部事情により参加されなかった方もいるが)、これは今まであまり例を見なかったことではないかと思う。例えば今までは、電子媒体の参加者は無数だが、活字媒体の参加者は有限であるという企画があったが、それは必ずしも「合致」ではなかった。電子媒体から選ばれた俳人・選良が、リーダーシップを取って雑誌を作ったという限界にとどまってしまうのであるが、これから行おうとしていることはそれと少し違う。
そしてこれはまた電子媒体で発表された作品と活字媒体で発表する作品が合致するということでもある(刊行に当たって見直しは行われているが)。もちろん、作者は変わらないが、読者が全く異なってくる。早い話今まで若手から50代、60代までを限度としてきていた読者が、60代以上、70代、80代、90代の俳人やブログに入ってくることのなかった読者の目に届くようになる。むしろ届かせたいと思っている。しかしそれは、BLOGで自由に書いていた作品が、第三者の批評を受ける作品に変質するなるわけである。
これらはちょっとした革命かも知れない。それも、句会文化があり、テクスト自身が極小である俳句にはむいた文学革命といえるかも知れない。
正岡子規は、俳句での題詠方法を改良して「1題10句」(それまでは10の題で10句を投句していたのを1つの題で10句を投句すること)という句会を開始した。句会であるからもちろん、10句が全部発表されることはない。ところが子規はそれを短歌に応用しようとしたとき、短歌には「1題10首」がむいていないことを痛感し、全然別種の「10首連作」という方式を開発し新聞に発表するようになったのである。
「1題10句」で生まれた傑作が
鶏頭の十四五本もありぬべし
である。「10首連作」で生まれた傑作が、
瓶にさす藤の花ぶさみじかければたたみの上にとどかざりけり
であった。ことほどさように、俳句と短歌、句会と新聞発表というように、その形式と媒体によって文学革命の形態は異なるのである。
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