2023年9月29日金曜日

黒田杏子を偲ぶ会  筑紫磐井

  9月17日(日)、神田如水会館で「黒田杏子さんを偲ぶ会」が開かれた。藍生の会が中心となった会(件の会の偲ぶ会はすでに7月に行われていた)なので当然藍生の会員が多かったが、黒田杏子の生前の幅広い交際で多くの方が集った。

 冒頭、平凡社の下中会長、件の会の仲間横沢放川氏、作家の中野利子さん、下重暁子さん、アビゲール・フリードマンさんが挨拶をされた。その間、なじみの董振華兄弟、橋本榮治、大井恒行、堀田季何、黒岩徳将、星野高士、坂本宮尾、宮坂静生、津久井喜代、広瀬悦哉、辻村麻乃、コールサック社の藤原父子、藤原書店の藤原社長らと思い出を語り合った。

 最後にご夫君の黒田勝雄氏が、言葉に詰まりながら感謝の言葉を述べられた。8年前脳梗塞で倒れて以来何処へ出かけるにしろ二人で行くことになり濃密な時間を過ごされたらしい。

 そんな中、中野さんの話で、黒田杏子から評伝を書いてほしいと話されていたと聞いて驚いた。黒田杏子のスケールの大きな活動からしても、たとえ藍生の後継誌ができても、黒田杏子の活動の総てを引き継ぐことは難しいはずだ。件の会でも難しいかもしれない。その意味で黒田杏子の全活動を後世の人に知ってほしいという思いが強かったのではないかと思う。黒田杏子の代表的著作『証言・昭和の俳句』は黒田杏子がインタビュアーとなって13人の戦後俳人から聴き語りをしたものであるが、いろいろ野心的な活動をしてきた黒田杏子にとっては、自ら『証言・昭和の俳句』を語りたいと思ったのではないか。中野さんの手で評伝ができればこんなうれしいことはない。