ないしよ
曾祖母の杖狐火を走らせる
北風を眺めるだけのけふの窓
水占の手元へ寄つてくる落葉
ないしよないしよ落葉の下に鳥の羽根
ふはと降りすいと消えたる雪蛍
・・・
大阪、天王寺界隈に七坂というのがある。小説の舞台になったり、吟行地に選ばれたりして、知られている所である。
対してというのかどうか、大阪八低山というのがあるそうだ。実のところ全く知らなかった。
八低山とは鶴見新山・真田山・御勝山古墳・茶臼山・聖天山・帝塚山古墳・昭和山・天保山のことだという。
中でも天保山は一番有名だと思うが、まだ行ったことがない。大阪に十七年間住んでいるというのに……。
その癖
小鳥来る大阪一の低い山 としこ
「低」の席題で作ったように思うが、しゃあしゃあと句にしたりして、我ながら呆れてもいる。
何回か登ったことがあるのは茶臼山と鶴見新山の二つしかない。茶臼山はその昔大坂冬の陣で徳川家康の、夏の陣では真田幸村の本陣となった古戦場。標高26mしかないのだが、ちょっと風格があるようにも思える。
鶴見新山の方は標高36mで八山のうちでは一番高い。ここは大阪市鶴見区の鶴見緑地内にある山。北海道の昭和新山は火山活動によって畑が盛り上がったというが、こちらの新山は大阪市民の廃棄物や地下鉄建設の際に出た土を積み上げた人工の山だというから、早い話がゴミの山なのである。埋めた生ゴミが地中で分解、メタンガスや炭酸ガスが発生。噴き出して燃えていたとかいなかったとか。これは40年程前のことらしい。
この緑地が有名になったのは1990年に「国際花と緑の博覧会」の会場になったことによる。その後は「花博記念公園」として整備され解放されている。博覧会の名残りの建造物もあるが、老朽化が激しく、撤去されたり立入禁止だったりという状況。植栽以外にも雑草、雑木の種類が多く、野鳥も昆虫も沢山いて散策にはいい所である。
こんなことを書いていたら行ってみたくなった。
春になったら出かけてみようか。そして、折角知った八低山の残る六つのうちの、せめて一山でも征服(?)してみよう。
(2022・12)