2022年5月27日金曜日

北川美美俳句全集 17

 ●面111号「ゲリとフレキ」2011年2月1日


元旦の東京タワー赤し赤し

太古より蝉は飴色琥珀色

グラシン紙覆ひて透ける太古かな

秋暑し引上げ船に船名なし

教会の枯葉を挿む書は天金

赤頭巾かの狼を連れまわす

極寒に少年運ぶ夜汽車かな

冬の日や畳の上で抱き合へり

十二月曇り硝子に迫る鱶

 追悼 ハプニングス・フォー ぺぺ吉弘

淋しさの片方を提げ虹の中


●面112号(大高さん追悼句のみ) 2011年5月5日

鳥帰る神のひかりの輪の中へ


●面113号「冬来たる」2011年12月1日


色褪せぬ母の戀なり鶏頭花

指と指離れ落葉また落葉

淋しさに濡れる道あり秋の暮

大陸に昔つながり渡り鳥

七面坂どすんどすんと冬來たる

故郷とはいちばん寒き處かな

弥生一日墓の因果を考へる

七階より洗濯機でてゆく水無月盡

封筒を開けて香あり巴里祭

太陽が同じところに紫黄の忌

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