2022年3月25日金曜日

【連載通信】ほたる通信 Ⅲ(20)  ふけとしこ

    竹に湯気

春寒し油抜きして竹に湯気 

竹幹の軋む音あるおぼろかな

朧なる孟宗竹の切株も

茶筅師が払ふ竹屑夕おぼろ

春月や土竜が鼻を使ふころ


 ・・・

 私は誕生日が2月22日なのである。この日は猫の日ということになっている。猫好きの人達からは羨ましがられるのだが、深い意味があるわけではなくて、ニャンニャンニャンと無理矢理な語呂合わせによるものらしい。  

 今年は2022年2月22日で見事な2並び! スーパー猫の日とのことであった。

 思いついて、大阪メトロの切符を1区間1枚だけ買った。だからどうだということも無いのだけれど、ちょっとした記念、と言えなくもない。時折取り出して眺めるとか、偶には人に見せて「ヘエ~!」と言わせるとか。そんなことぐらいだろうけれど。


  野遊びの靴脱ぐかへらざるごとく 井上弘美


という句があった。そうか、こういう言い方があるのだ……と昔の我が句を思い出した。我が句とは「野遊びの身投げのやうに靴揃へ」というものだった。

句会に出してみたら「身投げとはねえ~」「あからさますぎない?」などの声があった。

 昔からさしたる進歩もなくこういうことをやってきているから「この人の表現には工夫が足りない!」などとこっぴどい評をされることになるのだ。それでも自分なりに推敲しているつもりだから、一応は殊勝にも頷くふりをしているが、本当は悔しいし悲しい。来年の猫の日までには1句でもいいから、残せる句を作りたいものだと思う。

 それにしても、入水の時には履物を脱いで揃えて置くのが正しいのだろうか。

(2022・3)

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