「俳誌要覧2015」の〈俳誌回顧2015〉筑紫磐井×中西夕紀×田島健一の対談は参加者としてもなかなか面白かった。ここにその一部を紹介する。ここでは、各人が取り上げた評論、俳句作品を示そう。
―2015年の俳句結社誌・同人誌における注目のエッセイ・評論など3篇―
【筑紫磐井】
○「地貌季語を求めて」小林貴子ほか(「岳」)
○「俳句私小説俳句論のゆくえ」堀切実(「汀」)
○「俳句実験室 寺山修司」澤田和弥(「若狭」)
【中西夕紀】
○「私たちの戦争の記憶」鈴木要一ほか(「滝」)
○「『青春俳句』の系譜を継ぐ者」坂本登(「晶」)
○「曾良を尋ねて」乾佐知子 (「春耕」)
【田島健一】
○「成分表」上田信治(「里」)
○「俳人たちはどのように俳句を『書いて』きたか?」小野裕三(「豆の木」)
○「選と聖性」関悦史(「澤」)
―2015年の俳句結社誌・同人誌における注目の句10句―
【筑紫磐井】
アベ政治を許さない [金子兜太・澤地久枝?](件の会現場)
* *
秋蝶のあとついてゆく眠くなる 鳥居三朗(「雲」⑩)
行く春を大和の峠暗がりに 和田悟朗(「風来」20号)
菜の花のひかりは雨となりにけり 澤田和弥(「若狭」⑦)
またの世も師を追ふ秋の螢かな 三森鉄治(「郭公」⑫)
帰り道金木犀を嗅ぎながら 飯田香乃(「朱夏」123号)
* *
三月の風よ集まれ釘に疵 大本義幸(「俳句新空間」4号)
人がゐて麦茶をいれてゐたりする 生駒大祐(「クプラス」2号)
水性の町春服の乾きゆく 宮本佳世乃(「オルガン」1号)
一本道ゆくやじりじり首焼けて 中西夕紀(「都市」⑧)
【中西夕紀】
顔映す泉の底に別の顔 仲寒蝉 「里」⑥
声あらばきつとハスキー豆の花 浅井陽子 「運河」⑧
見ゆる音聴こゆる光葦青し 南十二国 「鷹」⑧
蛾を打つて心鱗粉まみれなる 伊藤季実 「汀」⑨
薔薇赤し軍港として今も尚 田島照子 「夏潮」⑩
神々は寡黙なりけり雲の峰 山中多美子 「円座」⑩
しづけさのつれづれに蘆混み合へり 瀧澤和治 「今」秋
青空は何もこぼさず蟻地獄 涼野海音 「火星」⑩
途中から目の裏側へ鳥渡る 柳正子 「小熊座」⑪
長き夜や明りを消してわれ消して 桑原三郎 「犀」202
【田島健一】
うららかに暮らした跡のあるほとり 鴇田智哉 「オルガン」1号
六月に生まれて鈴をよく拾ふ 生駒大祐 「オルガン」2号
ひまはりのすべてに布のかけらるる 宮本佳世乃 「豆の木」19号
うるほへる下くちびるとアニメの火 佐藤文香 「クプラス」2号
衣かつぎ百年前の雷を聞く 川口真理 「港」①
何もない日の籐椅子に日が入る 田中惣一郎 「里」⑥
ふ、は鳥になり昆布干す人が仰ぐ 依光陽子 「クプラス」2号
さえずりの空をつくりし会社かな こしのゆみこ 「豆の木」19号
誰も知らない初雪のできる音 近恵 「豆の木」19号
てのひらを片付けられずクリスマス 大石雄鬼 「豆の木」19号
※詳しくは「俳誌要覧2015」をお読み下さい。
東京四季出版 「俳句四季」
0 件のコメント:
コメントを投稿