2014年4月18日金曜日

【「俳句新空間No.1」を読む】 平成二十五年癸巳俳句帖より(その2) / 黄土眠兎

平成二十五年癸巳俳句帖シリーズを振り返って「ロイヤルコナチーム」のヘッドコーチのノートが見つかりました。このラインナップでいくそうです。

コナチーム ヘッドコーチのノートより

一番 前北かおる  アネモネや青山フラワーマーケット
何にも言ってないよー。お花のことしか言ってないよー。花屋のカフェが美味しいんだよー・・・なんて事、ひと言も言ってないよー。でも、美味しいんだよーと言いながら地方出身の投手をうっとりさせて打って出る。アネモネ、青山

最強伝説の始まり。

二番 近恵  滴りの膨れて鈴になるところ
トップバッターがさりげなく塁に出たところへ、鈴になるまで溜め込んでいた滴りパワーを強打して出塁。苦しかった練習の汗が滴りの姿を借りて実を結ぶことを暗示している(と信じたい
byヘッドコーチ)

三番 三宅やよい  東風吹かばやさしく沈む膝枕
おねーさんが膝枕してくれるんだって・・・という噂を東風に乗せて試合前に吹聴しておいた。情報戦でらくらくヒットだ。

四番 津髙里永子  恋するか死ぬか炬燵の脚ぐらぐら
えーっ、二択なの!究極じゃん!

その前に炬燵の脚くらい直しとこうよーという相手からのツッコミが来たところをヒット。塁に出るためならバットを炬燵に変えてでも打って出る。

五番 水岩瞳  連打して冬の怒濤になるピアノ
こうなったら連打しかない。えっ?連打が違うって?

ピアノも連打してたら冬の怒涛になるんだから、大丈夫。ラフマニノフピアノ協奏曲第2番でトリプルアクセルを決めて塁に出たい(野球じゃなくなってしまった。どうしよう)。

六番 矢野玲奈  産み月の一夜一夜に秋深む
産み月のカウントダウンはけっこうきついのよ。暑い夏を乗り切ってもうひと息という妊婦は誰にもとめられません。バッターボックスは優先。立ってるだけで観客全員が味方。塁に出られないはずがない。もちろん代走はつけるわよ。

七番 曾根毅  花の雨ことにやさしき地の窪み
ここで投入するのは「秘すれば花」作戦。想像力を刺激するのよ。相手に悟られる前にボールを見極めて出塁。

八番 太田うさぎ 内裏雛その隔たりに塵置かず
走者一掃のためにも塵はおけません。お内裏さまの立ち位置はどちらが右?どちらが左?という問題は取りざたされるけど、その間にあるものは見落としていたわ。視点が違うわね。うん。

九番 中山奈々  葉桜や臨機応変にも限度
ノートには書いてなかったけど・・・代打。

葉桜になるまで我慢したの。ヘッドコーチのサインのいい加減さにはうんざりだった。わたしはもう自分の思う通り振っていくよ。・・・カーーん。ほら来た!(by 奈々)

監督 池田澄子  涼しくて嬉しくてあ~立眩み
ええっ!監督そんなこと言ってる場合じゃないですよ。今シーズンどうするんですか!
またまた打順を組んでしまいました。『俳句新空間』の歳旦帖は、それぞれの句が置かれた場所で力を発揮してくれるので打順を組んでいてどのチームも負ける気はしないのですが、勝負は時の運。さて、どのチームが優勝するのでしょうか。

今シーズンの俳句帖もがんばります。

なお、途中からヘッドコーチがおねー言葉になってる部分はお見逃しくださいませ。



【筆者紹介】
  • 黄土眠兎(きづち・みんと)
1960年兵庫県生まれ、兵庫県在住。「鷹」同人、「里」人。




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