【俳句新空間参加の皆様への告知】

【ピックアップ】

2018年6月22日金曜日

第92号

●更新スケジュール(2018年7月6日)

*発売中!*
冊子「俳句新空間」No.9 
特集:金子兜太追悼
   平成雪月花句集

第4回攝津幸彦記念賞発表! 》詳細
※※※「豈」60号・「俳句新空間」No.8に速報掲載※※※

各賞発表プレスリリース
豈60号 第4回攝津幸彦記念賞発表 購入は邑書林まで




【告知】朝日俳壇新選者に高山れおな氏



平成三十年 俳句帖毎金00:00更新予定) 
》読む

平成三十年 花鳥篇

第一(6/22)仙田洋子・辻村麻乃・松下カロ・曾根 毅


平成三十年 春興帖

第九(6/15)網野月を・水岩 瞳・青木百舌鳥・佐藤りえ・筑紫磐井
第八(6/8)岸本尚毅・辻村麻乃・山本敏倖・加藤知子・下坂速穂・岬光世・依光正樹・依光陽子
第七(6/1)近江文代・渕上信子・花尻万博・浅沼 璞・五島高資
第六(5/25)木村オサム・渡邉美保・内村恭子・真矢ひろみ・前北かおる
第五(5/18)林雅樹・ふけとしこ・小沢麻結・飯田冬眞
第四(5/11)堀本吟・小林かんな・神谷波・望月士郎
第三(5/4)仲寒蟬・曾根毅・夏木久・坂間恒子
第二(4/27)大井恒行・田中葉月・椿屋実梛・松下カロ
第一(4/20)北川美美・小野裕三・仙田洋子・杉山久子


【新連載・黄土眠兎特集】
眠兎第1句集『御意』を読みたい
1 『御意』傍らの異界   大井さち子  》読む
2 つくることの愉しみ   樫本由貴  》読む
3 相克する作句姿勢~黄土眠兎第一句集『御意』~   川原風人  》読む
4 黄土眠兎はサムライである。   叶 裕  》読む
5 生活者の目線   天宮風牙  》読む
6 御意てっ!   仲田陽子  》読む
7 重なる日常と不思議   本多伸也  》読む
8 私の声が言葉の声であること   曾根 毅  》読む


【新連載・西村麒麟特集2】
麒麟第2句集『鴨』を読みたい
0.序に変えて   筑紫磐井  》読む
1.置いてけぼりの人  野住朋可  》読む
2.ささやかさ  岡田一実  》読む
3.乗れない流れへの強烈な関心  中西亮太  》読む
4.ある日の麒麟さん句会  服部さやか  》読む
5.千年宇宙のパースペクティブ  佐藤りえ  》読む
6.鴨評   安里琉太  》読む
7.水熱く――西村麒麟『鴨』の一句   堀下翔  》読む
8.私信 麒麟さんへ   藤井あかり  》読む


【新連載】
前衛から見た子規の覚書  筑紫磐井 
(1)子規の死   》読む
(2)子規言行録・いかに子規は子規となったか①   》読む
(3)いかに子規は子規となったか②   》読む
(4)いかに子規は子規となったか③   》読む
(5)いかに子規は子規となったか④   》読む
(6)いかに子規は子規となったか⑤   》読む
(7)いかに子規は子規となったか⑥   》読む
(8)いかに子規は子規となったか⑦   》読む
(9)俳句は三流文学である   》読む
(10)朝日新聞は害毒である   》読む
(11)東大は早稲田に勝てない   》読む
(12)子規別伝1・子規最大のライバルは落合直文   》読む
(13)子規別伝2・直文=赤報隊・東大古典講習科という抵抗   》読む
(14)(9-2)俳句は三流文学である――続編   》読む
(15)子規別伝3・新体詩の創始者落合直文   》読む
(16)子規別伝4・明治書院・大倉書店と落合直文   》読む




【現代俳句を読む】
三橋敏雄『眞神』を誤読する
   115. 霞まねば水に穴あく鯉の口  / 北川美美  
》読む

   116. 鈴に入る玉こそよけれ春のくれ  / 北川美美  》読む





【抜粋】
<「俳句四季」7月号> 
俳壇観測186/俳文学研究者の現代俳句への提言  ――山下一海・復本一郎・堀切実の業績
筑紫磐井 》読む


  • 「俳誌要覧2016」「俳句四季」 の抜粋記事  》見てみる






<WEP俳句通信>




およそ日刊俳句空間  》読む
    …(今までの執筆者)竹岡一郎・青山茂根・今泉礼奈・佐藤りえ・依光陽子・黒岩徳将・仮屋賢一・北川美美・大塚凱・宮﨑莉々香・柳本々々 … 
    • 6月の執筆者 (柳本々々・渡邉美保) 

      俳句空間」を読む  》読む   
      …(主な執筆者)小野裕三・もてきまり・大塚凱・網野月を・前北かおる・東影喜子
       好評‼大井恒行の日々彼是  》読む 





      *発売中*
      冊子「俳句新空間」No.8 
      特集:世界名勝俳句選集
      購入は邑書林まで



      筑紫磐井 新刊『季語は生きている』発売中!

      実業広報社




      題字 金子兜太

      • 存在者 金子兜太
      • 黒田杏子=編著
      • 特別CD付 
      • 書籍詳細はこちら (藤原書店)
      第5章 昭和を俳句と共に生きてきた
       青春の兜太――「成層圏」の師と仲間たち  坂本宮尾
       兜太の社会性  筑紫磐井

      【雑誌『兜太 TOTA』】創刊告知・金子兜太関連書籍案内

      【雑誌『兜太 TOTA』創刊】
      2018年2月20日、金子兜太逝去。
      最期まで輝き続けた巨人から継承するものは多い。
      晩年、「荒凡夫」から「存在者」に結晶した金子兜太の思想と行動を、
      俳句界を超越した広がりの中で受け継ぐための
      雑誌『兜太 TOTA』を発刊します。
      短詩系文学とりわけ俳句の分野において希有の存在である金子兜太氏の前人未踏の業績と生き方を、
      この時期にあたり再確認したいと考えます。

      雑誌『兜太 TOTA』第1号
      〈特集〉金子兜太とは何者か
      2018年9月創刊

      編集長 筑紫磐井
      編集委員 井口時男・伊東乾・坂本宮尾・中嶋鬼谷・橋本榮治・横澤放川・黒田杏子(編集主幹)
      〈第1号 寄稿予定者〉
      井口時男/池内紀/伊東乾/加賀美幸子/金子兜太/金子眞土/ドナルド・キーン/窪島誠一郎/黒田杏子/坂本宮尾/佐佐木幸綱/澤地久枝/下重暁子/瀬戸内寂聴/高山れおな/筑紫磐井/中嶋鬼谷/夏井いつき/橋本榮治/長谷川櫂/藤原作弥/アビゲール・フリードマン/星野恒彦/マブソン青眼/宮坂静生/宮崎斗士/横澤放川
      (五十音順・敬称略)



      雑誌『兜太 TOTA』創刊記念シンポジウム
      兜太を語り TOTAと生きる
      ■シンポジウム
      芳賀 徹
      下重暁子
      上野千鶴子
      いとうせいこう
      コーディネーター 黒田杏子
      ■映像上映「天地悠々 兜太俳句の一本道」(仮)/河邑厚徳監督
      ■悼辞「わたしの兜太」
       窪島誠一郎、澤地久枝、細谷亮太、マブソン青眼、宮坂静生、柳田邦男 ほか

      〈日時〉2018年9月25日(火)
      〈会場〉有楽町朝日ホール
      〈入場料〉前売1500円/当日2000円
      〈主催〉藤原書店

      ※お問い合わせは藤原書店まで →info@fujiwara.shoten.co.jp
      http://www.fujiwara-shoten.co.jp/main/



      【兜太関連書籍・雑誌のご案内】

      これまでに「blog俳句新空間」でご紹介してきた金子兜太の関連書籍・雑誌のアーカイブです


      『存在者 金子兜太』黒田杏子=編著 特別CD付 
      書籍詳細はこちら(藤原書店)


      『いま、兜太は』 金子兜太・青木 健編著
      書籍詳細はこちら(岩波書店)


      『戦後俳句の探求〈辞の詩学と詞の詩学〉 —兜太・龍太・狩行の彼方へ』筑紫磐井著
      お求めはウェップまたはアマゾンで(ウェップ)



      角川俳句 2018年5月号
      ■特集 「追悼 金子兜太」
      詳細はこちら(角川文化振興財団)

      俳句四季 2017年12月号
      ■特集「100人が読む金子兜太」
      詳細はこちら(東京四季出版)

      WEP俳句通信 vol.89
      特集〈金子兜太という表現者〉


      【新連載・黄土眠兎特集】眠兎第1句集『御意』を読みたい8 私の声が言葉の声であること  曾根 毅

      比叡山には九十日間、不眠不休で念仏しながら歩き続ける行があるのだそうだ。
      この念仏に祈願や感謝の思いはない。
      意味のある念仏であれば、三日と唱えつづけられるものではないらしい。六十日を過ぎたころから、己という主体を失い、声を発してはいるものの、無為、無心、無我の沈黙が発する念仏になってくるのだという。
      背景や私心によらず無心で対象物に向かうとき、俳句型式は特に普遍性をもってその機能を発揮するのではないかと考えている。

      化身なるべし熊野路の初鴉
      化身とは、衆生救済のため神仏が形を変えて、この世に現れること。救いを求める願望や希望の視点がある。しかし、ここでは表層的な意味の展開として読むよりも、神々しい何ものかが変化するときの力を感受したい。「化身なるべし」の語気は、上五に収まり切らず、七音に託された溢れるエネルギーとして迫ってくる。八咫烏や熊野に纏わる歴史や街道の奥行をもってそれは具現化され、初鴉の精気として昇華する。

      初刷は十のニュースを以って足る

      十のニュースがどのような内容なのかがわからない、といったところに捉まってしまうと、この句は味わいにくい。
      初刷りにかかわる状況と時間変化、それを拡大して捉える視点。そこに込められた平穏への願いや憧れは、元日の静かな時の流れ、冷たい空気へと集約されてゆく。

      子の息を吸ふ窓ガラス冬満月
      母性愛といえば、親が持つ子に対する本能的な愛情。それは無償の愛で、子にとっても受け止めて十分幸せなものであると思いたい。しかし、そうだろうか。想いの勝る自己愛ということもあるだろう。窓ガラスを通して見る冬満月に、通じ得ないがそれを見守っていたいという想いが感じられる。しかし月の側から見れば、無償の愛も自己愛も、ほんの些細な角度の違いでしかないのかもしれない。

      ものの芽の一つに卓のヒヤシンス

      卓上のヒヤシンスが、屋外のものの芽と通じている瑞々しい生命感覚。

      ひと驛を歩いて帰る櫻かな
      仕事帰りなどを連想するが、桜が咲くころの一日の終わりの気分が、省略のうちに余すところなく表れている。

      一日は案外長しつくづくし
      ゆふぐれはもの刻む音夏深し
      甘え鳴く鹿来てをりぬ膝頭

      和歌や歴史のイメージを織り交ぜた、奥行きのある時間空間が静かに広がる。

      幸運は静かに来るよ冬菫
      枯山の音とは手折る枝のこと

      二句とも優しい囁きとして響いてくるが、人に向けられたものでないような、人声でないような感じもある。
      冬菫も枯山もどこか限定的でない場所、無との境界線上にあるのではないか。


      【抜粋】〈「俳句四季」7月号〉俳壇観測186/俳文学研究者の現代俳句への提言  ――山下一海・復本一郎・堀切実の業績 筑紫磐井

       ●『山下一海著作集』完結
       平成二五年から始まった『山下一海著作集』(全一〇巻)の配本がこの四月で完了した。俳句文学者は何人か知っているが、全著作集をまとめたのは穎原退蔵(全二一巻)ぐらいで、俳文学研究者の全集は珍しい。著名な井本農一氏も尾形仂氏にも全著作集はない。山下一海氏(昭和七年~平成二二年)からは単行本は何冊か頂いていたこともあり親しみやすかったが、全集で見ると印象が大部違う。
       山下氏の著作集を読むと、芭蕉、蕪村、近世俳句、そして近・現代の子規や虚子までを含むから、勢い、古典から現代までの一貫した視点を見ることが出来る。アカデミックに裏打ちされた、古典から見た現代俳句の展望というものが見えてくるのである。特に、現代俳句への言及は穎原退蔵よりも多いのではないか。
       最終巻に当たる別巻は「俳論・随想・著作目録」となって未刊の文章が多く収録されておりとりわけ興味深い。一つは、単行本として収録されなかった俳論が多く収録されているのが見どころである。俳文学を総覧し、現代俳句にまで関する知見を持った山下氏が現代俳句に関する幾つかの問題についてどのような意見を持っていたかは興味深いところだ。芭蕉・蕪村の研究をすれば当然に、伝統に対する深い考え方が生まれるだろう。その代表である季語論を見てみたい。

       「俳句に季題が必要であるという絶対的な理由は何もない。歴史的に必要とされてきたもので、それなりの理由はあるが、それは絶対的なものでも何でもない。あった方がよいという相対的な効用性が認められてきたにすぎない。それを風土性や民族性から、あたかも絶対のもののように説く論があるが、それは往々にして国粋主義的な匂いを帯びてくる。むしろ今は、絶対的な理由がないのに生きてきたところに、俳句における季題の意味の大きさを考えるべきだろう。」(「季題観種々」)
       「俳諧にとって、伝統とは破壊するためのものであったのではなかろうか。しかし、大切なことは、伝統を破壊することによって新しい伝統を創開しているということである。・・・真の伝統は、伝統と意識される以前の何ものかである。伝統と意識され、名づけられるとき、それは伝統としての生命を失い、形骸化し、いつかはくだかれてしまう。そして、伝統はくだかれることで新生の意義を発揮する。」(「俳諧にとって伝統とは何か」)


       伝統墨守の俳人はびっくりするだろう。芭蕉・蕪村も現代俳句も通じて言えることは、「伝統ということを否定するところに俳諧の生命がある」「否定されるべきものと否定するものとの間の往復運動が、俳諧史を動かして行くエネルギーであった」ということになるのである。社会学にも通じる科学的な視点であった。
       もう一つの最終巻の見どころは、山下氏が若き時代に書かれた詩編があること、そして自伝が掲載されていることである。すぐれた研究者には俳文学以前の文学体験があるのではないか。
      (以下略)

      ※詳しくは「俳句四季」7月号をお読み下さい。


      2018年6月17日日曜日

      告知:朝日俳壇新選者に高山れおな氏

      2月20日に金子兜太氏がなくなり、長らく空席の続いた朝日俳壇選者に高山れおな氏が就任されました。兜太氏が既存の俳壇、とくに保守的な俳壇に果敢に挑戦してきたことは、その俳句を認める人も、認めない人も肯わないわけにはいきません。そして、高山氏も、兜太氏とは違った行き方をとるにせよ、息苦しい既存の俳壇に爽やかな風を吹き込んでくれることは間違いないと思います。最年少の新聞俳壇選者にご支援を賜りたく存じます。
       高山氏の最新作は「俳句新空間」第9号の「通年歳旦帖」7句、「平成雪月花句集」中の10句、「新春帖〈ローマにて〉」20句があります。ご覧下さい。
       またBLOG「俳句新空間」では本日付で大井恒行氏による「日々彼是」、さらに筑紫磐井が「俳句四季」8月号(7月20日頃刊行予定)の「俳壇観測」等で速報記事を掲載する予定です。こちらもご覧下さい。
       なお、新選者と交流する機会も作りたいと思います。改めてご連絡しますのでお待ち下さい。

      [略歴]
      1968年7月7日茨城県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。俳句は1989年頃より始め、1993年より「豈」同人、一時編集長。句集に『ウルトラ』(1998年)・『荒東雑詩』(2005年)・『俳諧曾我』(2012年)、共著に若手世代を総攬した選集『新撰21』(2009年)・『超新撰21』(2010年)。ウエッブ「豈weekly」(2008〜2010年)を運営、また「ku+(プラス)」を発行(2014〜2015年)。新世代を代表する第一人者として注目されてきた。現在「芸術新潮」副編集長。(文責:筑紫)

      2018年6月8日金曜日

      第91号

      ●更新スケジュール(2018年6月22日)

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      平成三十年 俳句帖毎金00:00更新予定) 
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      平成三十年 春興帖

      第八(6/8)岸本尚毅・辻村麻乃・山本敏倖・加藤知子・下坂速穂・岬光世・依光正樹・依光陽子
      第七(6/1)近江文代・渕上信子・花尻万博・浅沼 璞・五島高資
      第六(5/25)木村オサム・渡邉美保・内村恭子・真矢ひろみ・前北かおる
      第五(5/18)林雅樹・ふけとしこ・小沢麻結・飯田冬眞
      第四(5/11)堀本吟・小林かんな・神谷波・望月士郎
      第三(5/4)仲寒蟬・曾根毅・夏木久・坂間恒子
      第二(4/27)大井恒行・田中葉月・椿屋実梛・松下カロ
      第一(4/20)北川美美・小野裕三・仙田洋子・杉山久子


      【歳旦帖特別篇】金子兜太氏追善
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      (4/27)望月士郎
      (4/6)山本敏倖・依光正樹・依光陽子・関悦史
      (3/23)ふけとしこ
      (3/16)長嶺千晶・大井恒行・堀本吟・小林かんな・渡邉美保
      (3/9)小沢麻結・竹岡一郎・小野裕三・早瀬恵子・杉山久子・神谷 波・真矢ひろみ・水岩瞳・渕上信子・池田澄子・中山奈々・木村オサム・浅沼 璞
      (3/2)辻村麻乃・曾根毅・月野ぽぽな・五島高資・北川美美・島田牙城・豊里友行・加藤知子・仲寒蟬・神山姫余・佐藤りえ・高山れおな・筑紫磐井



      【新連載・黄土眠兎特集】
      眠兎第1句集『御意』を読みたい
      1 『御意』傍らの異界   大井さち子  》読む
      2 つくることの愉しみ   樫本由貴  》読む
      3 相克する作句姿勢~黄土眠兎第一句集『御意』~   川原風人  》読む
      4 黄土眠兎はサムライである。   叶 裕  》読む
      5 生活者の目線   天宮風牙  》読む
      6 御意てっ!   仲田陽子  》読む
      7 重なる日常と不思議   本多伸也  》読む


      【新連載・西村麒麟特集2】
      麒麟第2句集『鴨』を読みたい
      0.序に変えて   筑紫磐井  》読む
      1.置いてけぼりの人  野住朋可  》読む
      2.ささやかさ  岡田一実  》読む
      3.乗れない流れへの強烈な関心  中西亮太  》読む
      4.ある日の麒麟さん句会  服部さやか  》読む
      5.千年宇宙のパースペクティブ  佐藤りえ  》読む
      6.鴨評   安里琉太  》読む
      7.水熱く――西村麒麟『鴨』の一句   堀下翔  》読む
      8.私信 麒麟さんへ   藤井あかり  》読む


      【新連載】
      前衛から見た子規の覚書  筑紫磐井 
      (1)子規の死   》読む
      (2)子規言行録・いかに子規は子規となったか①   》読む
      (3)いかに子規は子規となったか②   》読む
      (4)いかに子規は子規となったか③   》読む
      (5)いかに子規は子規となったか④   》読む
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      (10)朝日新聞は害毒である   》読む
      (11)東大は早稲田に勝てない   》読む
      (12)子規別伝1・子規最大のライバルは落合直文   》読む
      (13)子規別伝2・直文=赤報隊・東大古典講習科という抵抗   》読む
      (14)(9-2)俳句は三流文学である――続編   》読む
      (15)子規別伝3・新体詩の創始者落合直文   》読む
      (16)子規別伝4・明治書院・大倉書店と落合直文   》読む




      【現代俳句を読む】
      三橋敏雄『眞神』を誤読する
         115. 霞まねば水に穴あく鯉の口  / 北川美美  
      》読む

         116. 鈴に入る玉こそよけれ春のくれ  / 北川美美  》読む





      【抜粋】
      <「俳句四季」6月号> 
      俳壇観測185/楸邨・草田男・兜太のつながり ――「寒雷」終刊の感傷
      筑紫磐井 》読む


      • 「俳誌要覧2016」「俳句四季」 の抜粋記事  》見てみる








      <WEP俳句通信>




      およそ日刊俳句空間  》読む
        …(今までの執筆者)竹岡一郎・青山茂根・今泉礼奈・佐藤りえ・依光陽子・黒岩徳将・仮屋賢一・北川美美・大塚凱・宮﨑莉々香・柳本々々 … 
        • 6月の執筆者 (柳本々々・渡邉美保) 

          俳句空間」を読む  》読む   
          …(主な執筆者)小野裕三・もてきまり・大塚凱・網野月を・前北かおる・東影喜子
           好評‼大井恒行の日々彼是  》読む 





          *発売中*
          冊子「俳句新空間」No.8 
          特集:世界名勝俳句選集
          購入は邑書林まで



          筑紫磐井 新刊『季語は生きている』発売中!

          実業広報社




          題字 金子兜太

          • 存在者 金子兜太
          • 黒田杏子=編著
          • 特別CD付 
          • 書籍詳細はこちら (藤原書店)
          第5章 昭和を俳句と共に生きてきた
           青春の兜太――「成層圏」の師と仲間たち  坂本宮尾
           兜太の社会性  筑紫磐井

          【新連載・黄土眠兎特集】眠兎第1句集『御意』を読みたい7  重なる日常と不思議  本多伸也

           『御意』は不思議な句集だ。私たちが生きている世界と重なりながら日常とは別の様相を帯びる、信仰をはじめとする人知を超えたものが多く詠み込まれている。それは時には重く、時にはさらりと句にされ、読み手は翻弄されながらも、その不思議な世界へと足を踏み入れていくのである。

           御降や靑竹に汲む京の酒

           冒頭の一句である。酒が注がれているのは切ったばかりの青々とした竹。清冽な香りとともに喉に通せば、酒を生んだ水、竹を育んだ土の恩恵を感じる。それは京という土地の恩恵なのだ。長くこの国の都としてあったこの土地が感じさせる神秘は他のそれとは一線を画する。同じ雨であっても正月に降る雨が特別であるように。古来より神と人を結ぶものである酒、そして京という特別な場所。それを詠み込んだこの句が冒頭に置かれることによって読者は涼やかにして不思議な句の数々が待つ世界へと導かれるのである。巧みな舞台設定であり、その後の句の世界にも影響を与えている。

           朝寝して鳥のことばが少しわかる
           なまはげが説教されてゐたりけり


           朝寝と鳥語とは全く関係ない。しかし、この句はなんとなくそんなものかもしれないという気にさせる。
           いつもは説教(というより恫喝か)する立場のなまはげ。ここでは逆に説教されている。
           どちらもおかしみのある句だが、これらの句のおもしろさがすんなりと入ってくるのは、日本人の信仰が果たしている役割が大きいだろう。なまはげは言わずもがなだが、鳥語を解するといえば民話の「ききみみずきん」を思い出す。ききみみずきんは信心深い若者に観音様が与えたものであり、やはり信仰と関わりがある。

           目つむるだけの参拝夏衣
           六道詣自転車で乗り付けて


           出店なども出る祭。そぞろ歩いているだけでも楽しいものである。その雰囲気を楽しみに赴いていれば参拝は重要視されるものではないが、それでも無視はしない。軽いスタンスの中にも神仏への敬意はちゃんと感じられる。
           「乗り付けて」がおかしい六道詣。ちょっと大雑把でも先祖の霊はしっかり迎えに行く。
           どちらも特別信心深いわけではないが、さりとて信仰から離れてしまうわけでもない。現代らしさが好ましく詠み込まれている。

           かごめかごめ櫻吹雪が人さらふ
           十数え鬼となる子や落葉焚


           いずれも子どもの遊びが詠まれたものだが、この2句からは尋常ならざるものが迫ってくる。
           「かごめかごめ」の曲調は決して明るいものではない。詞も謎めいていて不気味さがある。そこに絶え間なく降ってくる桜花。美しいだけにそれは呪力を帯びる。人をさらっていってしまうほどに。
           次の句はかくれんぼか鬼ごっこだろうが、この子がなったのは遊びとしての「鬼」だけなのだろうかと、ふと思ってしまう雰囲気を持っている。焚火はどのような影を映しているのか。

           まだ熱き灰の上にも雪降れり

           表立って信仰などを掲げているわけではない。「まだ熱き灰」とは割り切ることのできぬ震災への思いも含んでいるであろう。様々なものを白く覆う雪が降っても、それは容易に隠れてしまうものではない。それでも、震災で傷ついたすべてのものが少しでも安らかであってほしいという祈りが感じられる。
           
           信仰は口つく祈草の花

           祈りといえば集の中で最も印象深かったこの句が浮かんでくる。普段は自分の信仰などを意識することはない。何かに祈ることも。そんな日本人は多いだろう。しかし、自分や近しい人が危機に見舞われたとき、そしてそこから救われたとき、祈りの言葉が口をつく。それこそ人知を超えた大いなるものへの畏敬の気持ちの表れであり、原初の信仰の姿ではないだろうか。春が来れば数多の草が花を咲かせるように、それは自然なことである。信仰とはそのように私たちの心の深い部分に寄り添い、意識せずとも自然に存在しているものなのかもしれない。

           『御意』の魅力はここまで挙げてきたような人知を超えた世界とつながるような句ばかりではない。日常の世界を詠み込んだ佳句も多く収録されている。

           啓蟄や叩いてたたむ段ボール
           丸洗ひされ猫の子は家猫に
           ゆふぐれはもの刻む音夏深し
           秋深しギリシャ数字の置時計

           これらの日常を詠んだ句と不思議な世界を詠んだ句が混ぜ合わされていることで、2つの世界がパラレルなものではなく、重なり合ったものであることを感じさせる。『御意』は不思議の世界へ我々を誘う力を持つ。そういえば異国の物語で少女が不思議の国に紛れ込んだのも「兎」を追いかけていってのことであった。

          本多伸也     鷹会員

          【新連載】前衛から見た子規の覚書 筑紫磐井(16)子規別伝4・明治書院・大倉書店と落合直文

           子規と何より違うのは、落合直文が国文学者であるということだ。正確に言えば、新・国文学者と言えようか。これに対し、正岡子規は新聞記者であったことだ(言っておくが二人とも歌人でも俳人でもない)。
           前回、直文の創作(短歌ではない、新体詩の)分野の活躍を述べたので、ここでは、国文学者の業績を上げることとする。

          (1)読本
           直文が、総合的な国文学研究を実施できた理由には、東京大学文学部とは別の、在野的な研究体制を整えたことがある。それは、三樹一平が創業した明治書院である。落合直文と明治書院の蜜月は、私のくだくだしい説明文章よりも明治書院の現在のホームページを読むに如くはない。

          http://www.meijishoin.co.jp/company/c391.html

           
          創業時代
           明治29(1896)年1月1日、落合直文門下の与謝野鉄幹を編集長に迎え、一平は東京市神田区通新石町2番地に落合直文の命名になる「明治書院」の社名を掲げ、国語漢文の教科書発行を経営の柱とした。小学校が整備開校されていく中で、これからは中等教育の時代との見通しを持っていた一平は、中等学校では良い教科書が望まれるという出版人としての直感と教育者としての信念があった。この年刊行の主なものは、いずれも直文による『中等国文読本』『日本大文典』などで、創業の姿勢をよく表している。直文は30代半ば、短歌革新を唱える短歌界の一方の雄であり、国文学の泰斗として、第一高等学校・東京専門学校(早稲田)・國學院で教鞭をとりながら、国文学の革新に情熱を注ぎ、新しい口語文体の形成に腐心していた。教科書発行とともに編集長与謝野鉄幹の処女詩歌集『東西南北』を上梓し、青年層に広く迎えられた。それは『明星』創刊の礎となり、創刊時の発売を明治書院引き受ける契機になった。
           明治30(1897)年、現在地の神田錦町1丁目に社屋を新築。教科書は新たに落合直文編『中等国語読本』を刊行し、『徒然草読本』など抄本教材や古典参考書類を充実させて、国文専門の営業基礎を固めた。『明星』の与謝野鉄幹・晶子夫妻の歌風に強く惹かれていた石川啄木が、書院に一時籍をおいたのもこのころであった。
           落合直文が42歳でこの世を去った後、精神的支柱になったのは森鴎外であった。当時、教科書は中学校用、女学校用、師範学校用を含めて、創立10年後の明治39年までに刊行点数は120点を数え、国漢の明治の定評を得ていた。
           鴎外は落合の『中等国語読本』の改訂編集に着手し、明治44年『修訂中等国語読本』として落合直文・森鴎外・萩野由之の三人の名前で刊行した。この教科書は改訂・校訂・新訂と改訂編集されて大正10(1921)年まで刊行された。落合がこの世を去っても、なお約20年間使われた大ベストセラーであった。」

          (2)辞書
           もう一つ注目されるのは、『日本大辞典・ことばの泉』1899~9年(大倉書店)の編纂である。
           近代となっての国語辞典の編纂としては、『語彙』(木村正辞・横山由清他)[明治4~17年]が嚆矢とされ、その後、『ことばのはやし』(物集高見)[明治21年]等が編まれた。しかし何と言っても著名なのは、大槻文彦が心血を注いで作った『言海』[1889年](私費版)である。しかし、この『言海』でさえ収録語数は39000語、当時の多くの国語辞典(その他の著名な辞書の藤井『帝国大辞典』1896(三省堂)、林『日本新辞林』1897(三省堂)など)が概ねこの水準であった。これに対し、落合直文が編纂した『日本大辞典・ことばの泉』は実に130000語という規模であった。これは国語辞典というよりは、現在の岩波の広辞苑の源流に当たる百科事典型辞典と見てよいであろう。だから直文の苦労は、日清戦争後に膨大に増加した現代用語をいかに国語辞典に取り込むかにあったようである(「序文」)。その方針は直文の子息直孝が補足した70000語の増補版、後に芳賀矢一の監修・改訂により改名された『言泉』260000語として刊行され、息の長い辞書として利用されている。直文は創作活動や教育活動の間にこれを易々と作り上げていたのである。直文はこのほかに百科全書型と対照的な古語辞典『国書辞典』も編纂している。もちろん、直文は辞書の編纂をしたといっても、大槻文彦や松井簡治のような辞書学者として生涯をそれに打ち込んだわけではない。むしろ、社会全般の動きを見ながら実用性のある辞書を目指したといえよう。
           正岡子規の俳句分類を偉業とは思うのであるが、直文のこれらの業績も優りこそすれ、決して劣るものではない。
              *     *
           余談となるが、辞書は刊行後時間がたてばたつ程現代語辞典としての価値は薄れてゆく。その代わり、近代国語の変遷資料としての価値が高まるのである。
           こうした時系列で言葉をたどるためにも明治期の国語辞典は有用なのであるが、『言海』以後の明治以後の主要な辞書を挙げてみる。直文の『ことばの泉』やその改訂版は近代日本語の変遷をたどる上での重要な基準となるのである。

          【明治以降主要国語辞典】
          ①日本辞書 言海 大槻文彦 明治22年~24年 私版本
          ②日本大辞書 山田美妙 明治25年~26年 日本大辞書発行所
          ③日本大辞林 物集高見 明治27年 宮内省
          ④帝国大辞典 藤井乙男・草野清民 明治29年 三省堂
          ⑤日本新辞林 林甕臣・棚橋一郎     明治30年 三省堂
          ⑥ことばの泉 落合直文 明治31~32年 大倉書店
          ⑦辞林 金沢庄三郎 明治40年 三省堂
          ⑧大増訂ことばの泉補遺 落合直文・落合直幸〔増訂〕明治41年 大倉書店
          ⑨大辞典 山田美妙 明治45年     ???
          ⑩大日本国語辞典 松井簡治 大正4年~5年 冨山房・金港堂
          ⑪言泉 芳賀矢一・落合直文 大正10年 大倉書店
          ⑫広辞林 金沢庄三郎 大正14年 三省堂
          ⑬小辞林 金沢庄三郎 昭和3年 三省堂
          ⑭大言海 大槻文彦 昭和7年~8年 冨山房
          ⑮辞苑 新村出 昭和10年 博文館
          ⑯大辞典 石川貞吉 昭和11年 平凡社

          眠兎第1句集『御意』を読みたい インデックス



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          6 御意てっ!   仲田陽子  》読む
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          10 出会うべくして――『御意』を詞書から探る   岡村知昭  》読む
          11 案外な  黄土眠兎句集『御意』を読む   久留島 元  》読む
          12 仲間たちへ   三木基史  》読む
          13 敵 黄土眠兎句集『御意』を読む   中山奈々  》読む
          14 手札の中のモノ   黒岩徳将  》読む

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          2.ささやかさ  岡田一実  》読む
          3.乗れない流れへの強烈な関心  中西亮太  》読む
          4.ある日の麒麟さん句会  服部さやか  》読む
          5.千年宇宙のパースペクティブ  佐藤りえ  》読む
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          7.水熱く――西村麒麟『鴨』の一句   堀下翔  》読む
          8.私信 麒麟さんへ   藤井あかり  》読む
          9.西村麒麟句集「鴨」を読む -多様な光―   小沢麻結  》読む
          10.『鴨』――その付合的注釈   浅沼 璞  》読む