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2020年9月25日金曜日

【連載通信】ほたる通信 Ⅲ(2)  ふけとしこ

    盗人萩

色鳥や音立てて茶の注がるる
集落といふも四五軒尉鶲
宇治も奥蔓竜胆の引き出され
宇治田原盗人萩がついてくる
車止めさせて走りの柿を買ふ
   ・・・
 この春、福島県産の山菜、特にコシアブラにセシウムが多く含まれているとの記事を目にした。コシアブラはウコギ科の木でその芽はタラの芽より美味であるとして人気があり、近頃では大阪のスーパーでも売られるようになってきた。この記事を読んだ時、そりゃそうでしょ、と思ってしまった。何故なら例の原発事故以来、如何にセシウムを減らすかということに取り組む人達があり、さらに危険区域にまで入って植物を採取し、その蓄積量を調べているグループがあることを聞いていたからである。そして分析の結果、蓄積量の一番多いのがコシアブラだったというのである。木の本体にセシウムが蓄積されていれば、新芽にも当然含まれる筈だ。かつてカドミウム米と言われた米があったように……。  
  植物は例えそれが有害であるとしても、水や土壌から体内に取り込まざるを得ない。汚染土と言われる土に根を下ろせば致し方のないことである。他にナズナやギシギシなどの雑草にも多く集積しているとか。それならば、なるべく多くの草木に吸い取らせ、それを刈り取って処理すればいいわけだと思えてくる。
 が、と素人は素人なりに考える。そのセシウムを取り込んだ植物を刈り集めたとして、その後をどう処理するのだろうか、と。
 最近、公園や街路からキョウチクトウが減っている。常緑樹で鮮やかな花は花期も長く、日照りや排気ガス等にも強いことから、多く植えられていた時代もあったが、その毒性が指摘され(死亡例もあるそうだ)次第に減らされてきたものである。燃やすと煙からも有毒物質が出るから、絶対に自分で燃やしたりしないで、と書かれた物を見たこともあった。
 放射性物質となると、キョウチクトウの毒どころではない話で、これからどのように研究されるにしても、実際に浄化されるまでの道のりとは、私には想像することすらできない。                                (2020・9)

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