【俳句新空間参加の皆様への告知】

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2019年7月12日金曜日

【抜粋】俳誌要覧2019年版(東京四季出版)「結社誌・同人誌のあゆみ2018」【俳句新空間】


【俳句新空間】
発行人=北川美美・筑紫磐井
創刊=平成26年2月
理念=新しい時代の俳句媒体誌として開始した超結社BLOG「俳句新空間」記事を活字にすること

  かつて「豈weekly」の巻頭言に高山れおなは「俳句など誰も読んでいない」と綴った。現在個人句集が続々と刊行される中、読まれない俳句のなんと多いことか。そこで小誌の母体「BLOG俳句新空間」では作者自身がプロデュースする句集鑑賞コーナーを設けた。二〇一八年は、西村麒麟『鴨』、黄土眠兎『御意』、辻村麻乃『るん』を採り上げ作者が原稿依頼から入稿までを担う方式。時に五〇を超える寄稿数の場合も。自身の句集を自らの依頼で開いえてもらうことになる。現在二〇一九年の連載予約も入る盛況ぶり。この鑑賞連載はしばらく続きそうだ。
   冊子は年二回発行。9号は金子兜太追悼特集、平成雪月花自選集。10号は創刊以降の自己精選集を掲載。また前号鑑賞を小野裕三、もてきまりが丁寧に論じる。前衛、伝統、世代を超え60名近い参加者。(文・選/北川)

どこからが国のはじまり春霞 筑紫磐井
朧夜につかんではなす豆腐かな 北川美美
うす墨となり雪原の川消ゆる 青木百舌鳥
春の木を敲けば応と兜太の声 網野月を
寝たあとの耳を慕いてアナタは蚊 池田澄子
金魚玉のぞけば赤の溢れだす 飯田冬眞
ピカピカの缶蹴りの缶空に虹 内村恭子
毎日を生まれて死んでピーナッツ 近江文代
万華鏡に満ちたる挽歌あけやすし 大井恒行
骨の軋むような常闇がくる 大本義幸
ほぼ空の大きさである初詣 小野裕三
西を向く頭蓋と頭蓋風花す 加藤知子
結界の外れにからすうりの花 神谷波
お辞儀するやうに体操蕗の薹 岸本尚毅
夏痩せの男全員島流し 木村オサム
河と川出会ひて滾つ青楓 五島高資
秋蝶やメルトダウンする真実 坂間恒子
永き日の空缶拾い(アルミだけ)佐藤りえ
蓮咲いて明日の吾をうつす水 下坂速穂
殺されて牛の肉喰む汗の顔 杉山久子
老い縮む国なり冬のスーパーも 関悦史
蛇を打ち殺せしイブのけだるさよ 仙田洋子
空蝉や音をたてずに崩れ去り 曾根毅
めくらみ登る炎帝の赤膚は 高山れおな
飲食はかなしきならひ天道虫 秦夕美
飛花落花鎖骨のくぼみさみしがる 羽村美和子
目嗔らせ千葉真一や寒稽古 林雅樹
手の中に真白き小石うららけし ふけとしこ
蛇好きですよ靴も財布も 渕上信子
風船を曳き魂は黒い汽車 堀本吟
風紋の果てに毛羽立つ枯草よ 前北かおる
噴水の芯に少年サンテグジュペリ忌 松下カロ
はくれんの蕊の暗がり予言の書 真矢ひろみ
揺れやまぬN個の個性土佐水木 もてきまり
水中花愛に言葉は不要かな 夏木久
レーニンの帽子の中の雪崩かな 高橋修宏
故郷に騙されていて春の風邪 中村猛虎
いつせいに亀鳴く昼のありぬべし 仲寒蝉
吊革に腕老いてきし十二月 渡邊美保
葬送や赤き満月押し上げて 福田葉子
いにしえの句読点あり雪月花 神山姫余
秋の蝶涙のあとを舐めにくる 田中葉月
大いなるものに引かれて花野かな 辻村麻乃
可愛がりすぎて兎が肥りけり 椿屋実椰
大ぶりにしてあをあをと汗拭 依光正樹
むかしから住んで木の枝払ひけり 依光陽子


※「俳誌要覧2019年版」より一部転載。

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