昨年5月、金子兜太氏が白寿を以て主宰する「海程」誌を終刊し、今後は自由な活動を始めると宣言されたところから、『存在者 金子兜太』(藤原書店2017年4月刊)に執筆参加した兜太氏と関係の深い有志により、新しい雑誌の企画が立てられました。これについては兜太氏の賛同も得て準備は着々として進められましたが、不幸なことに本年2月に98歳をもって兜太氏は急逝されました。
藤原書店では、インタビューを始め雑誌の準備が相当進んでいたところから、当初の企画を変更し1冊の本として「兜太TOTA」を出版する計画を立てました。
この新しい企画では兜太氏を中心としつつも、俳句にこだわらない「存在者」としての兜太氏の全存在を描きたいと考え、その意味では、俳句作家だけではなく、文芸、文化、芸術、思想関係の方のご参加を得て行く事としました。兜太氏の「存在者」の姿が、これにより、浮かび上がるものとなることを信じております。短詩型文学において稀有の存在である金子兜太氏の百年にわたる業績と生き方をこの時期にあたり再確認したいと考えます。
また、これと併行して、「雑誌『兜太 TOTA』創刊記念シンポジウム 〈兜太を語り TOTAと生きる〉」(2018年9月25日有楽町朝日ホール)、「兜太と未来俳句のための研究フォーラム」(2018年11月17日津田塾大学 千駄ケ谷キャンパス)を行います。よろしくご協力お願いします。
【雑誌「兜太 TOTA」創刊号 目次】 2018年9月25日刊
〈名誉顧問〉金子兜太 〈編集主幹〉黒田杏子 〈編集長〉筑紫磐井
〈編集委員〉井口時男 伊東乾 坂本宮尾 中嶋鬼谷 橋本榮治 横澤放川
〈編集顧問〉瀬戸内寂聴 ドナルド・キーン 芳賀徹 藤原作弥
〈口絵〉現役大往生の人――最晩年の金子兜太 撮影=黒田勝雄
辞世 金子兜太 コメント=黒田杏子
なぜ戦争はなくならないか 金子兜太
■創刊の辞
創刊のことば 黒田杏子 筑紫磐井
創刊に寄せて――編集顧問のことば
瀬戸内寂聴 ドナルド・キーン 芳賀徹 藤原作弥
■兜太郎レクイエム
追悼句十二選 十二氏
兜太哀悼 佐佐木幸綱
追悼の辞 宮坂静生/金子眞土/黒田杏子/長谷川櫂/関悦史
兜太追悼歌仙 爆心地の巻 捌 長谷川櫂 連衆=宮坂静生・黒田杏子
■〈特集〉一九一九 私が俳句
兜太 生インタビュー(1) 金子兜太 聞き手 筑紫磐井
Ⅰ 兜太と時代
誰にも見えなかった近・現代俳句史
――虚子の時代と兜太の時代 筑紫磐井
三本のマッチ――前衛・兜太 井口時男
〈コラム〉
大花火 下重暁子
兜太さんの背中 澤地久枝
日銀と兜太 藤原作弥
Ⅱ 兜太と物故作家たち
詞によせて――伊昔紅、そして兜太 橋本榮治
兜太と草田男 横澤放川
まつろはぬ民の血――楸邨・兜太の原郷 中嶋鬼谷
兜太と珊太郎――月光仮面のように 坂本宮尾
〈コラム〉
火星と国王と野糞 高山れおな
春を吐く兜太先生 夏井いつき
金子兜太氏が訴えた危機 窪島誠一郎
Ⅲ 兜太と世界
海外における金子兜太の俳句について アビゲール・フリードマン
世界を魅了する「俳諧自由」 マブソン青眼
TOTAL――紛争と国境を越えて 伊東乾
■金子兜太の生涯
存在ひとすじに 宮崎斗士
〈カット〉 池内紀
定価: 1,296円
藤原書店
〒162-0041 東京都新宿区早稲田鶴巻町523
電話 03-5272-0301 ファクシミリ 03-5272-0450
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