お詫びがございます。筆者の勉強不足から「道をしへ」について誤解がございました。お詫びして訂正させて頂きます。ご指摘を頂戴いたしました読者の方には、深く感謝申し上げます。この一事を今後の勉強の糧といたします。
◆道をしへ行方不明となりにけり (大村市)小谷一夫
大串章の選である。掲句の評には「第二句。「道をしへ」が「行方不明」になった、という言い方が面白い。」とある。「行方不明」になったのは誰だろう。もしかしたら作者自身であろうか?
それとも作者は傍観者であり、「道をしへ」が何処かへ飛んで行ったということであろうか。作者自身だとすれば、道を教えて貰ったにもかかわらず、迷子になったということである。しかしながら自身の行動を行方不明というのは少々大仰かも知れない。とすればやはり、「道をしへ」は飛んで行ってしまった。作者からは、見失ってしまったということであろう。
そもそも座五の「なりにけり」というのは、重厚な表現であり、単に事実の確認にとどまらずに作者の感情の深みや感慨を示していると言えよう。中七「行方不明」のニュースタイトルのような表現を座五の表現がどっしりと受け止めている構図だ。
◆両翼に海の力や夏燕 (船橋市)斉木直哉
長谷川櫂選である。季題「燕」や「夏燕」の句には類想もあるが、掲句は句のスタイルもスッキリとしていて如何にも句意にぴったりだ。座五の「夏燕」の発音が多少詰まり、「夏燕」を何かに喩えているのかしら?と愚考したりする。が、やはり此処は素直に「夏燕」のこととして捉える事にしたい。
【執筆者紹介】
- 網野月を(あみの・つきを)
1983年学習院俳句会入会・同年「水明」入会・1997年「水明」同人・1998年現代俳句協会会員(現在研修部会委員)。
成瀬正俊、京極高忠、山本紫黄各氏に師事。
2009年季音賞(所属結社「水明」の賞)受賞。
現在「水明」「面」「鳥羽谷」所属。「Haiquology」代表。
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7月18日掲載の記事に誤りがありました。お詫びして改訂版を本日7月24日掲載いたします。
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