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2013年2月22日金曜日

二十四節気論争(4)――日本気象協会と俳人の論争――/筑紫磐井編

(5)文化として残すべきである

前項(4)の意見をさらにつきつめ、1見不合理に思われる在来の24節気のよって立つ季節感は日本伝来の文化であるという意見を主張する。

  • 古来、中国より伝わり日本の風土に適合されてきたもの。季語の世界だけでなく、農業(水稲作)をする上でも、重要な季節区分であり、これからも文化として残すべき

  • 古人の営みに触れることができる貴重な財産だと思います。全て漢字2文字できりっと揃っているところも大好きです。

  • かつて24節気はアジア全体のグローバルスタンダードでした。日本の歳時記、中国の歳時記、朝鮮の歳時記、台湾の歳時記をみると少しづつずれながらもアジアに共有された文化が、これらの世界をつなげていたことが分かります。なぜグローバルスタンダードというと、英米圏や、英語圏を連想するようになったのか不思議です。アジアがひとつとは言いませんが、アジアの思想を共有する言葉が残っていることは必要だと思います。

  • 24節気は中国伝来の古くから使われてきた季節の呼び名。現状と合わないと言って置き換えられるものではない。節気はそのままにして新しい解釈や新しい切り口を発見することが現代の詩人の役割。

  • 短歌をつくっています。短歌に使うことがあります。言葉は流動的なもので仮に現状の気象に即した言葉をあてられてもまた『現状』の気象は早いサイクルで変化するものと感じます。むしろ古い文化としてあえて古いサイクルの言葉を用いて作歌することも古い形式の詩をつくるたのしみのようにも感じています。勝手を申しました。場をつくっていただいてありがとうございました。

  • 24節季は昔から今へと綿々とつながる日本文化を象徴するものの1つだと思います。これを廃止し、新しいものに置き換えることは文化の断絶をもたらすことになり、避けるべきことと思います。

  • 長い間使われてきた現在の24節気は、それぞれにとても好きな言葉で、日本語の美しさを感じます。大切にしていきたいと思います。

  • 永く親しんできたものなので今後も大事にしていきたい。

  • 新しい「季語」を提唱しても、本意の歴史が確立していないので季語として役に立たない(季節性を表せても言葉としての力がない)。24節季はそのままで良い。伝統のある季語はほぼ全て中国発なので、それらも変えてしまうのか(ばからしい)。日本でも北と南では季節感が違い、季節感のずれは当たり前。しかも、24節気は太陽暦に基づくものであって旧暦でも新暦でも同じ日(日付の数字は違うが)である。そのままにしておいてほしい。立春や冬至が別の名前になるなんて考えたくもない。現代人の国語力のなさ(啓蟄の意味がわからない)を「季節感のずれ」として問題をすり替えているにすぎない。
    ○歴史的にあったものは大切に。

    ○文化(歴史・伝統など)を大切にしたい。24節気は「あさがお」「あまざけ」とは違う。

(6)もっと24節気を普及したい

前項(4)(5)の立場を踏まえ、在来の24節気に基づく季節感を肯定するためにも、24節気に対する知識を普及することが重要だと指摘する。

  • 私たちは、自然に大きく影響を受けており、四季によって豊かな情操を培われています。四季の中でも、初め、中、終わりのころの自然は違い、さらに初めでも前の季節を残している橋渡しの移ろいを宿していたりして微妙です。昔の人々はほんとうに季節を細やかに感じていてからこそ、こうして細かく分類してきました。もっと自然を身近に感じていたいから、24節気をもっと普及したいと思っています。実際の季節感と24節気がずれているということについて。それは、24節気は天文学的に考えられているからです。ずれは、地球が温まるのに1か月かかるところからきています。太陽が南中するのは12時、けれども最高気温になるのは2時。このずれはしっかり日常生活で吸収しています。季節によるずれを吸収できていないのは、まだ日本人が季節感に対して天体の運行をもとにした理解をすることができていないからでしょう。これを、周知させることが先決。

  • 伝統的な24節気の由来などを、啓蒙しないツケが今になって来てる。新しいものを作る前に、そういう啓蒙活動が大切では、ないか。伝統のものと、新しいものとが2重に使われることの混乱が心配。

  • 言葉を変えることも必要かもしれませんが、今使っている言葉を少しは残しつつ、それを大衆に広く伝える努力も必要だと思います。例えば、僕は「啓蟄」の言葉の響きを強く愛しています。なくなってしまっても、そのままこの季語を使って作り続ける俳人は多いのではないでしょうか。また、この議論とは別に思うのですが、24節気は俳人や詩人だけの問題ではなく、そうでない人にこれらの言葉を知っていただく機会を作るほうがより重要かとも思います。

  • とても面白く、美しい言葉ですが中国伝来のものが多く、一般的にはなじみがなくわかりにくいと思う。中国への反感もあると思う。しかし、俳句を楽しんでいる我々にはなくなって欲しくないものです。一般の人には存在すらご存じないと思う。面白さをアピールしていかなければ、現代と合ってませんと言われれば、では、いらないとなるでしょう。また、気象庁は勝手に決めるのではなく、問題提起をして話し合いの場を持つべきです。日本の役所は、なんでも、国民抜きで決めてしまい、腹がたちます。

  • 24節気は、最近、頑張って覚えてみました。天気予報の当たり外れだけに、1喜1憂する日々が、虚しくなったからです。空を見て、外気に触れること。その上で、天気図に目を通したり、24節気や季語に思いを致し、自分で判断するようになったら、精神的にも物理的にも、すっきりしました。私は俳句に、季題や季語が無くても全く構わない立場ですが、「24節気」の考え方は、かなり合理的に出来ているのではないかと思います。最近、ゼミ形式で学生と話し合う機会があったのですが、「24節気」、わりあいウケました。手帳を見ながら、1年の行動を振り返ると、(「立夏」=GW、「大暑」=夏休み、「冬至」=柚子湯=クリスマスツリーはもともと、太陽信仰に基づく冬至の習わしをキリスト教が採用したもの等々)、なるほどと思うようです。若い世代の方が、素直に受け入れられるかもしれません。
    ○難しい言葉だから止めるのではなく、若い人に「こういうものだ」と教えると、なる程と喜ばれま す。言葉の成り立ちも判るし、日本語の素晴らしさが分かるのではないでしょうか。

    ○もっと知らしめる工夫が必要。

(7)新しく24節気を作ることは余計である

24節気を廃止改変することは不要と言うだけでなく、在来の24節気から伝統的な(あるいは東洋・中国由来の)季節感が生まれるのであるから、現代的な(あるいは欧米由来の)季節感に立つからといって、ことさら「新しい24節気」を作る必要などないという主張である。むしろ転じて24節気と無関係に季節のことばを考えればよいと言う。

〈①新しく作ることは余計である〉

  • 24節気に加え、さらに1節気につき3候に細分化した72項まであるので、新たに節を加えるというのは抵抗がある、というより不用に思います。俳句なら、魅力的な季語を加え良い句が生まれることで事足りると考えます。

  • 現代の気候と24節気が合わなくなっているということも確かにありますが、実際には人の生活が季節と合わなくなっているのではと思います。高気密住宅での冷暖房、外来植物・外来生物の存在、生活習慣の変化などの影響を注意深く除いていけば、まだまだ24節気はゆるがないと思います。

  • 季節の言葉は、俳句の専売特許ではない。言葉を選ぶのは俳人としても、新たに作るとは馬鹿げた考えだ。

  • 新しい季節の言葉をつくる、という必要を全く感じませんし、定着するとも思えません。いまある言葉が、時代と共に自然と変化していくならともかく、どこかの誰かに突然提案されても、す[ん]なり受け入れらないのでは。

  • 確かにあまり使われていないもの、難しいものもあるが、無理に新しい言葉を作っても浸透しないと思う。

  • 新しい24節気がそう簡単に定着するとも思えませんが、季節感のズレのような問題もそう簡単に割り切れるものでもないと思います。

〈②節気と無関係に作ればよい〉
  • 古来の24節気はそのまま残す。どうせ新暦になっても、旧暦を知らねば古句を作者の状況に沿って鑑賞出来ないように、新旧両方を知らねばならないから。新しい季節の言葉はそれなりに必要だが、節気に拘らず作っていけば良いと思う。ただ最近の「猛暑日」や「ゲリラ豪雨」は言葉が刺々しい。もう少し優しい言葉が欲しい。

  • 24節気についてはほとんど知識がなく、いつからいつまでかも知りませんでしたが、言葉としては味があるので好きです。現在の季節とのズレがあることについては、元々地域差もあるので仕方ないものとして、新しい言葉をたくさん取り入れてその中で人気のあるものが残ればいいと思います。

  • 気象協会の言い分もわかりますが、それならそもそも、別な概念の言葉を冠すべきであって、あえて節気を持ち出す必要はないと思います。むしろ、従来の季感と大幅にずれている地域など、縁辺部の充実を図るような活動をなさったらいいのではないでしょうか。そもそもが公的機関なんだから余計な似非美しい日本プロジェクトなど行う必要はないと思います。これを提案したからと言って自然災害に備えがいくわけでなし。

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