【俳句新空間参加の皆様への告知】

【ピックアップ】

2024年5月17日金曜日

第45回皐月句会(1月)[速報]

投句〆切1/11 (木) 

選句〆切1/21 (日) 


(5点句以上)

9点句

ぴんと立つソフトクリーム初山河(渡部有紀子)

【評】 意外な取り合わせ。ソフトクリームがはっきりと見える。──仙田洋子

【評】 「ぴんと立つ」が元気よくていい。如何にも初山河に相応しい。正月とソフトクリームの取合せが意外過ぎて面白い。──仲寒蟬


7点句

若菜摘む大地しずもれしずもれと(小林かんな)

【評】 今回は時期柄震災俳句も多かったが、この句も震災俳句に属するとみてもよいだろう。しかし一風異なるのは、震災の悲惨さを詠んだものではなく、若菜摘みの句であること。若菜摘みは万葉集の巻初にも取り上げられた上代の重要な行事で、それにより息災を祈るもの。その後神社などでも引き続き行われた。「大地しずもれしずもれ」は祝詞のように心に響く。──筑紫磐井


6点句

ふくろふに漆黒といふ柔らかさ(飯田冬眞)

【評】 梟のあの羽のしなやかさは闇から来るものだったか。──仲寒蟬


ご自由にどうぞ聖夜のパンの耳(中村猛虎)

【評】 さり気なく置かれたメモとパンの耳。日常が季題と出合い詩が生まれました。新鮮な「聖夜」句と存じます。──小沢麻結


初夢に見知らぬ橋の掛かりけり(松下カロ)

【評】こわいですねえ。その橋、夢の中でも渡ってはいけません。──仲寒蟬


5点句

八百万神の寝息か冬の霧(田中葉月)


暦なき部屋に暮らして松七日(佐藤りえ)


破魔矢のみ持ちたる人の通りけり(岸本尚毅)


(選評若干)

天命を待つ寒鯉の尾の捌き 3点 真矢ひろみ

【評】 そうか、寒鯉はじっとして天命を持っているのか。尾の捌きがいいですね。──仲寒蟬


眼前に白鳥遥かにオスプレイ 3点 松下カロ

【評】 近景と遠景、どちらも空飛ぶもの。さりげなくオスプレイを入れているのがいい。表立った批判よりずっと効果的。──仲寒蟬


着ぐるみを新しくしてお正月 4点 望月士郎

【評】 今年も代わり映えのない己を着ていくか…よいしょ、という声が聞こえてきそうです。──佐藤りえ


小春日のそれはとってもオムライス 4点 夏木久

【評】 むむむ、どれどれ、然し、成る程オムライス。小春日和の丘のようなスタジアムのようなケチャップかけたくなるやつに僕は異存ないです。いや、とっても食べたいです。──妹尾健太郎

【評】 小春日のそれは何かかは書いてない。然しそれはとってもオムライスである。中七の連辞に謎と詩情があり、小春日とオムライスの取り合わせが、色彩感と共に次のイメージを誘う。──山本敏倖


美女の鼻梁ぺらぺらとして福笑 2点 渡部有紀子

【評】 「美女」と来れば、鼻梁スッキリと高い女性を思い浮かべがちだが、「福笑い」の顔の出来上がりは、そううまくはゆかない。目隠しをして、白紙の顔に目鼻を付けてゆく。おカメお多福なら、まだまし。ぺらぺらとしなうその紙にぺらぺらとしなう鼻が妙な位置に貼られてしまうと、かえってふっくらした笑顔になったりする。日本の正月遊びは笑いで始まる。このしあわせなきもち。──堀本吟


大いなる初日あふりか大陸へ 1点 仙田洋子

【評】 阿弗利加への初旅を詠まれたものでしょうか。ひらがな表記が、「ふらんすへ行きたしと思へども」を彷彿させるなどして妙趣を醸していると感受します。──平野山斗士