【俳句新空間参加の皆様への告知】

【ピックアップ】

2023年5月12日金曜日

第35回皐月句会(3月)[速報]

投句〆切3/11 (土) 

選句〆切3/21 (火) 


(5点句以上)

8点句

ぶらんこの少年すでに消えつつあり(松下カロ)

【評】 あり得る──渕上信子

【評】 中村苑子的な・・・。──仲寒蟬

【評】 情景は良く伝わるのだが、謎が深い。すでにの措辞が背後の物語性を誘う。ブランコに春に揺れながら、少年の存在への不安感を暗示し、詩趣豊か。──山本敏倖


語り終へ眠るロボット養花天(篠崎央子)

【評】 養花天とロボットの眠りが響くようです。その眠りが少し恐ろしく感じるのは何故でしょうか。──小沢麻結

【評】 學天則を思い浮かべましたがこれは喋らないのでした。口を閉ざしたロボットと曇天は響き合う気がします──佐藤りえ


竜天にホスピスの窓全開に(田中葉月)

【評】 緩和を目的とした終末医療、ターミナルケアには完治という目的がなく患者は死に向かっていく。その暗くなりがちな気持ちも青空に向かって窓を開ければ明るくなるのかもしれない。竜天にという季語がまるで魂を天の国に誘うような感覚にもなり、雨が降る前に早く気持ちを整えたいという看取る側の思いも彷彿とさせる。に、押韻も効いている。──辻村麻乃

【評】 爽やかな悲しさ──渕上信子

【評】 ホスピスから天に昇って行くものがいるのだろうか。──仲寒蟬


5点句

春満月地球黒ずんではゐぬか(仲寒蟬)

【評】 眼に見えているのは春の満月だが、作者の思惑は見えない地球に及ぶ。月食であれば月に地球の影が浮かぶが、満月だからそれさえ見えない。全く手掛かりがないのだが、あの満月の様に煌々と光っているわけではないだろうといぶかしむ。人間の頭の中が見えて来るような句だ。──筑紫磐井


蟻穴を出づ神木は花持たず(篠崎央子)



(選評若干)

ゼレンスキーの眉間の皺や春寒し 4点 渕上信子

【評】 毎日のようにメディアに登場するあの顔。だんだん眉間の皴が深くなってきたような。──仲寒蟬


野に出でて陽炎ふ座敷わらしかな 4点 真矢ひろみ

【評】 座敷童は本来外へ出てはいけないのです。──仲寒蟬


慎重に外す型枠涅槃西風 4点 内村恭子

【評】 型枠を扱ったことはないが慎重にしなければならないのだろうな。涅槃西風がうまい。──仲寒蟬

【評】 慎重に外す・・・、「慎重に外せ!」と丹下健三も安藤忠雄も言っている?涅槃西風の中で!日本建築は古代社寺、法隆寺・薬師寺・・・桂離宮・・・、現代の隈研吾まで、素晴らしい!木や石・セメント・ガラス・鉄まで、素材を活かす!言葉素材の俳句もそうでありたい??と思っているが??──夏木久


蝌蚪もゐる春鮒釣の杭の影 2点 岸本尚毅

【評】 季が重なるのは当然とばかりに春の池の賑わいをそのままに詠んで、耕衣翁の呟きを彷彿とさせる作品。──妹尾健太郎


べうべうと幼児ころがる猫柳 4点 佐藤りえ

【評】 「べうべう」というスケールの大きさに惹かれました。──渕上信子


首元に赤子吊るして梅見かな 2点 辻村麻乃

【評】 情景が見えます──渕上信子


夕桜旗亭に死すと年表に 3点 仲寒蟬

【評】 西行なら花の下ですがこちらは誰のことか、恰も唐山の詩人の趣です。羽化登仙というやつでしょう。──平野山斗士

【評】 文人は、楼閣や居酒屋で死すことがあります。夕桜が儚くも美しい。──篠崎央子