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2023年2月24日金曜日

現代俳句大賞に齋藤愼爾氏   筑紫磐井

  現代俳句協会は、令和5年2月20日に「第23回現代俳句大賞」に齋藤愼爾氏を決定したと発表しました。

  齋藤氏は、「アサヒグラフ」増刊俳句特集、朝日文庫『現代俳句の世界』等により、保守化していた俳壇にあたらしい風を吹き入れてくれた。攝津幸彦が「狙っているのは現代の静かなる談林」と高らかに叫んだのはこうした風が吹いていたからだと思う。

 私自身にとっても、最初の評論集『飯田龍太の彼方へ』の執筆を勧めてくれた恩人であるし、ささやかに書き溜めていた『虚子は戦後俳句をどう読んだか―埋もれていた「玉藻」研究座談会』を公にしてくれた恩人でもある。堀本吟の『霧くらげ何処へ』、恩田侑布子『余白の祭』など「豈」同人の普通の出版社ではとても出せない本を刊行してくれていた。その意味でも俳壇に大きな功績のある人であった。

 以下発表文を掲げます。

    **************************

       「第23回現代俳句大賞」決定のお知らせ

 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

 さて、首記の第23回現代俳句大賞につきましては、2月15日(水)午後3時より選考委員会が開かれました。本賞は幅広く協会の内外より現代俳句の興隆に貢献した方々を顕彰するもので、現代俳句の最高位に位置付けされる賞であります。

 その結果、下記のとおり決定いたしましたので、お知らせ申し上げます。

                                                                                                   謹 白

                      記

 ◎第23回 現代俳句大賞  齋藤 愼爾(さいとう しんじ)俳人、編集者、文芸評論家

➀尖鋭な俳句批評を執筆するとともに、数々のアンソロジーや編集企画に参加した(「アサヒグラフ」増刊号の7回にわたる俳句特集、朝日文庫『現代俳句の世界』16巻、三一書房『俳句の現在』16巻、ビクター『映像による現代俳句の世界』等)。昭和後期に俳句を始めた青年たちに大きな影響を与えた。最近では、河出書房新社『20世紀名句手帳』8巻がある。

➁俳句実作の経歴も長く、『夏の扉』『陸沈』『齋藤愼爾全句集』等を刊行し、先鋭的な作品は俳壇内外からの賞賛を受けている。寺山修司らと俳句雑誌「雷帝」を刊行。


◎受賞者のプロフィールは次のとおりです。


 ◇ 昭和14年(1939年)8月25日朝鮮京城府(現・韓国ソウル市)生まれ、83歳 


住 所    深夜叢書社 〒134-0087 江戸川区清新町1-1-34-601 電話03(3877)7797


略 歴

 ・昭和14年(1939年)朝鮮京城府(現・韓国ソウル市)にて出生、昭和21年(1946年)山形県の飛島に移る。高校時代より句作を開始。

・1955年(昭和30年)秋沢猛、秋元不死男に師事、秋元「氷海」に投句。「氷海賞」受賞。

・山形大学文理学部国文科を中退後、昭和38年(1963年)に深夜叢書社を設立。

・以降は、俳人、編集者としての活動を継続しつつ、文芸評論や評伝執筆など多方面にて活躍。


著 書: 『齋藤愼爾全句集』(河出書房新社)『寂聴伝 良夜玲瓏』『続 寂聴伝 坫華微笑』(白水社)『ひばり伝 蒼穹流謫』(講談社)『周五郎伝 虚空巡礼』(白水社)句集『陸沈』(東京四季出版)、等多数、また、文学や芸術の各ジャンルや社会時評など多方面での編著がある。


◎選考委員

中村和弘、寺井谷子、高野ムツオ、対馬康子、秋尾 敏、小林貴子、久保純夫、

筑紫磐井、永井江美子、後藤 章 (寺井谷子及び久保純夫は、オンラインにて参加)


◎顕 彰

本年3月18日(土)東京都台東区「東天紅」上野店にて開催の令和5年度現代俳句協会

通常総会(午後3時より)の席上にて、顕彰することを予定しております。

*お問い合わせ先 現代俳句協会事務局(電話03-3839-8190)