【俳句新空間参加の皆様への告知】

【ピックアップ】

2021年8月13日金曜日

第15回皐月句会(7月)[速報]

投句〆切7/11 (日) 

選句〆切7/21 (水) 


(5点句以上)

8点句

夜のプール人体得ては歪みけり(松下カロ)

【評】 飛び込みや水泳をプールの側から捉えているのがユニークで驚きました。──仙田洋子


白玉や心に死者を遊ばせて(西村麒麟)

【評】  「心に死者を遊ばせて」に共感。──渕上信子


7点句

その人に涼しき毒を習ひけり(西村麒麟)

【評】 涼しき毒を使いこなせるかっこいい人、私もそうなりたいです。──渕上信子

【評】 「涼しき毒」に惹かれました。涼しき毒とはどういう毒なのでしょうか?わからないところが魅力です。──水岩瞳

【評】 毒だけど涼しいというのがいい味わいです。私もいつもそのように心がけているのですが、どうやらトウガラシのような毒になってしまいがちです。──筑紫磐井

【評】 本人には嫌みに聞こえない皮肉、とかそんな感じでしょうか。スマートだけど言いたいことは言う、という人物に憧れる気持ちは共感できます。──前北かおる


初蟬や樹齢等しき埋立地(依光陽子)

【評】 広大な平面に人工的に等間隔に工業製品の如く植えられた、そのような樹にも、蟬が来る。それが今年初めて耳にした蟬声だったと、これだけの内容を云い留める字配りに感服いたします。──平野山斗士

【評】 言われてみれば当たり前のことですが、当たり前のところに面白みを見つけるのが俳句です。単価ではこういう味わいは埋めないでしょう。──筑紫磐井

【評】 かつて海だった地を土で埋め植林し、いつしか蝉が飛んでくるようになった。蝉は埋立地の新しい土に卵を産み、今鳴いているのだと思った。植林の木々や蝉が成虫になるまでの歳月を思わせる句である。──篠崎央子


6点句

遺書なくて人死ぬ蜘蛛の巣を払ふ(近江文代)

【評】 遺書がないと遺された者は非常に困る。蜘蛛の巣は置き物ではあるが、効果的であると思う。──依光正樹

【評】 遺書もなく死んだ人の部屋を片付けている。その部屋には蜘蛛の巣が張っている。それを払いながら孤独死という運命に思いをはせる。人の死のありかたのこういう状態は切ない。──堀本吟


箱庭に星を育ててゐたりけり(田中葉月)


5点句

開脚も逆立ちもせぬ素足かな(水岩瞳)

【評】 「それで?」という感じもしますが、何となく面白いです。──仙田洋子

【評】 特選。まるで私です。──渕上信子


夏物の売場を歩くただ広し(岸本尚毅)


(選評若干)

まっさきに乾く少年の海水着 4点 松下カロ

【評】 確かに!言われて納得。──仙田洋子

【評】 海水着から少年のエネルギーが見えてきます。──小林かんな


かきつばた本にきき紙あそび紙 4点 妹尾健太郎

【評】 「きき紙」は書籍の表紙裏に貼り付ける紙のこと。「あそび紙」は貼り付けない紙のことで、両者を合わせて「見返し」といいます。掲句は「かきつばた」の湾曲した花弁を左右に広げた姿と、本の真ん中のページをつまんで持ち上げたときの形状が類似していることから想を得たのでしょうか。「かきつばた」と製本用語の「きき紙」「あそび紙」との取り合わせが新鮮でした。──飯田冬眞


かき氷みづから食へば客来り 3点 前北かおる

【評】 間合いがなんともなくいいですね。淡々と描いているにもかかわらず自然な面白みが浮かび上がってきます。ちょおと古い俳諧という感じです。──筑紫磐井


ほたるぶくろ黙読のふと独り言 4点 望月士郎

【評】 黙読をしていると、目は文字を追っているのにいつの間にか違うことを考えている時がある。ついには独り言が出てしまったり。。。そんな人の姿とほたるぶくろの花の形が重なって見えてくる。季題斡旋がとてもよいと思いました。──依光陽子


戦争は嫌よ白靴山となり 3点 近江文代

【評】 強制収容所の靴・鞄・服・眼鏡…などの山々が思い出されました──佐藤りえ


夏蝶のなぞり前方後円墳 4点 平野山斗士

【評】 大形で原色のいかにも古代から生き続けてきたような夏の蝶。それがフッと目の前に。そしてそれがかの前方後円墳をなぞり飛んだ。夏蝶と前方後円墳の不可思議な配合美による、深遠なる時間の存在。詩趣豊か。──山本敏倖


新月に蟬と生れしや啼いてみん 3点 依光陽子

【評】 月光の射さない夜に時間をかけて羽化を終え、その翅の濡れも乾いてすらりと伸び蝉の姿が整ってきた。早暁のひと啼き、思いもかけぬこの生を謳歌するとしよう。──妹尾健太郎


香水の蓋の球体もてあそぶ 2点 渡部有紀子

【評】 もてあそぶうちら香りが立ち上って来そうです。夜の句として読みました。──小沢麻結


手ざわりで知る古蚊帳の力かな 2点 真矢ひろみ

【評】  古蚊帳の力とはごわごわかもしれないが、それもまた頼もしい。日中目にするものではないので、手ざわりに伝わるというのがまたいいです。──小林かんな

【評】 古い蚊帳には、その家の暮しの力を感じます。手触りでその力をこの時期になると感じた作者。よく理解できます。──松代忠博

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