【俳句新空間参加の皆様への告知】

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2015年3月20日金曜日

第13号 あとがき



北川美美記 

「俳句新空間」としては13号ですが、2013年1月4日創刊の「俳句空間ー戦後俳句を読む」からの通算で101号目となります! 前回が100号でした。 昨年秋から隔週として再スタート。今後とも努力して基礎体力をつけつつ、ゆるやかに山を登り続けたいと思います。

豈weeklyの終刊の辞<「―俳句空間―豈weekly」の終刊にあたってなすべきこと…筑紫磐井>を読み直しましたが、約4年半越しで着々とその「なすべきこと」が実行されている…と検証。 例えば、インターネットと紙のダブルスタンダード…。 冊子の「俳句新空間」もNo.3発行とチャクチャクドアイが加速しています。 

途中、「俳句樹」「詩客」と共同サイトとして縦走した感がありますが、確実にいくつかの三角点は超えていましょう。  やるべきことの中のやれることを、やっていくのみです。

今号では、「評論とは?」で堀下翔さん単独掲載。ロランバルトはミーハー的なことをいうと、中村江里子の夫が遠縁で(どうでもいいといえばいい)、彼女は現在、「エリコ・バルト」を名乗っています。「エリコ・ロワイヤル」っていうパリ通信本が売れているみたいですが、常々、このネーミングは「バルト・ロワイヤル」いや「バトル・ロワイヤル」(映画:深作欣二監督)から来たのでは、と思っていました・・・近からず遠からず。ロランバルトの「モードの体系」というのに興味があります。ファッション×哲学っていうのがカッコイイじゃないですか! いずれイブサンローランを俳句に無理くり結び付けてみたいと思っています・・・。(無謀な計画…)



通算101号目のお祝いに、仲寒蝉さんが芸術選奨新人賞を受賞!されました。 おめでとうございます! 筑紫相談役からの祝辞が下記につづきます。
(私は仲さんから寒稽古句会で2年連続総計2回の特選を頂いています! 精一杯の小さな自慢。)


(赤尾兜子研究執筆中)
祝 仲寒蟬 芸術選奨新人賞受賞!
句集『巨石文明』の成果により受賞  文化庁による報道発表







筑紫磐井記


仲寒蟬氏が芸術選奨新人賞を受賞した。昨日受賞者に、芸術選奨文部科学大臣賞と新人賞の違いを聞いたら、年齢が若いと新人賞、年輩だと大臣賞だそうで違いはないらしい。それならば新人賞の方こそ未来があるだけ魅力的だ。この賞を受賞した著名俳人が多いだけに、我々の仲間の仲寒蟬の受賞は慶賀に堪えない。

彼の受賞作である句集『巨石文明』を紹介すべきであろうが、すでに「俳句四季」の『俳壇観測』で紹介しているので、なかなかうかがい知れない作家像を紹介しておきたい。

寒蟬氏は昭和32年大阪に生まれて、信州大学医学部に入学した。医者の道を、長野に選んだことになる。佐久市立浅間総合病院の医師である。

俳句を始めたのは40歳ぐらいからではなかろうか。医師は待ち時間が多いから俳句はうってつけの趣味ではないかと思う。水原秋櫻子とか高野素十とか俳人医師は枚挙のいとまがない。それでも40歳はやや晩稲だ。しかし年取ってからの道楽は、若い者の道楽と違って深みにはまりやすい。

彼の住む佐久に邑書林社主の島田牙城が来た所から道楽(失礼)は激しさを増す。島田牙城が主唱して佐久で毎年開く朗読会「朗読火山灰」という会に毎年参加していた。このころ東京では新宿のジャズバーの店主宮崎二健の俳句ライブの会のような朗読会がしばしばあったから流行ではあった。しかし、大病院の先生が河童の装束を着て俳句の朗読をする必要もあるまいという気もしたが、これも若気の過ちであろう。このころから私も、牙城を介して知り合うようになった。
言っておくが名医である。そして糖尿病学会の権威でもある。日本中で講演に回っている。患者の信頼も厚いに違いない。

では俳句は趣味かというと『巨石文明』を読めばわかるように膨大な作品を詠んでいる。作品量に実は句集が追い付いていないのだ。だから、数の多さから云ったら業俳と言えるかもしれない。
さらに、島田牙城の雑誌「里」の編集長を務める。おまけにやたらと受賞歴が多い。第一句集『海市郵便』で第21回山室静佐久文化賞、その後第50回角川俳句賞を受賞した。

しかし注目したいのは、散文だ。実におびただしい文章を書いている。すでにその一部は、『鯨の尾』(邑書林)があったが、そこで私が仲間に引き入れたのが、相馬遷子研究であった。彼の住む佐久の著名な医師俳人として相馬遷子がいた。人格者であり、医師俳句と言う特殊なジャンルを開拓した作家であり、水原秋櫻子が馬酔木の中で石田波郷亡き後唯一信頼していた作家であった。埋もれかけていたこの作家を調べるのに俳人だけでは限度があった。医師の眼がどうしても必要であった。佐久、医師、俳句、これだけ重なり合った条件で寒蟬氏に入ってもらうのは当然の事であった。『相馬遷子 佐久の星』(邑書林)が出たのは参加者の努力も大きかったが、寒蟬氏がいなかったらとてもまとめられなかったであろう。最大の功績者である。今でも感謝している。もちろん、幅広い注目を浴びたわけではないが、相馬遷子を知ることのできる唯一の本となったと自負している。しかしこれは我々が恩恵を受けただけではなく、寒蟬氏にとっても一つの契機になっているような気がする。療養俳句に関する連載を見るようになったからだ。


彼の医師俳句はあまり見ないように思うが、むしろ文章の形で彼の思想や感情には共感するところが大きい。そしてそれこそが、優れた医師の業との関係ではふさわしいように思うのである。頑張れ、仲寒蟬。(筑紫磐井)





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当ブログの冊子も何卒ご贔屓の程よろしくお願いいたします。
(ちなみに、最新号 No.3 では、仲寒蝉氏20句詠 「戦争と平和」が収録されております。)


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