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平成二十六年夏興帖, 第一 (近恵・杉山久子・仙田洋子・曾根毅・福永法弘・堀田季何)
近恵(1964年生まれ。青森県出身。2007年2月俳句始めました。「炎環」同人「豆の木」メンバー。 2013年第31回現代俳句新人賞受賞。 合同句集「きざし」。)
異界より声あじさいのくらがりに
ひきがえる大気のひずみ膨らませ
ほうたるがひとつ潜ってゆく裂け目
杉山久子(藍生、いつき組、ku+)
泣かされし記憶水着に紅き花
光追ふ飛魚の背につかまつて
舟虫の失せれば滅ぶ都かな
仙田洋子
着陸の翼かがやく巴里祭
海の日の海にふれたりはなれたり
その先に真夏の海や滑走路
空港で髪切つてゐる夏休
離陸機の爆音原爆忌の爆音
日盛や我に喰はるる豚あはれ
蟻地獄蟻を引つぱりこむところ
曾根毅(「LOTUS」同人)
酒場より緑夜に移る火照りかな
安心(あんじん)や五山の大を見て帰り
蝙蝠に見つめられたる木目かな
福永法弘(天為同人、石童庵庵主、俳人協会理事)
窓小さく道民暮しマイマイ蛾
蛾一枚エレベーターに挟まるる
マイマイ蛾札幌ドームに被されり
堀田季何(「澤」「吟遊」)
うねりながら巖這ふ瀧やうなりをり
一条の滝一枚になりにけり
表より裏迅く滝落ちにけり
星河より滝こぼれおちゐたりけり
文字盤を磨けば銀河遠ざかる
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