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2014年2月28日金曜日

【西村麒麟『鶉』を読む7】 西村麒麟句集『鶉』評 / 矢野玲奈


①句集について

我が家に届いた『鶉』の番号は25。さて、誰が何番なのだろう。発行元の西村家に問い合わせたところ 1番:妻のA子 2番:長谷川櫂 3番:大谷弘至 4番と5番は西村夫婦それぞれの実家。6番~9番は結社外の親しい友人や御世話になっている方々で、200番が麒麟本人という。また、受け取ったら喜んでもらえそうな番号を選んで、64番:御中虫 77番:中山奈々 99番:堀田季何 (敬称略)に贈ったと聞くと句集出版を楽しんでいることが伺える。もう残り僅かだそうだ。

夫婦で一通り楽しんだ我が家の『鶉』は、リビングに置いてある。

授乳中に片手でパラパラ読むのに、サイズも分量も気軽さも丁度良いのである。

へうたんで遊び、酒に遊び、鶯笛で遊ぶ麒麟。現実であり夢でもある独特な世界で麒麟は自在に遊ぶ。私も、育児に追われ会話のない昼間に、麒麟の世界で遊ぶ。


②一句鑑賞


陶枕や無くした傘の夢を見て
傘を無くすのは日常よくあること。雨があがった時や酔っぱらった時など誰でも経験があるだろう。だが、無くした傘の夢を見るのは珍しい。よほど傘への思い入れが強かったのか。いや、そうではなく、そんな夢をみたことに驚いた。そしてどこか物悲しさを感じたのではなかったか。陶枕のひんやりした感触が無意識の世界のようなものを呼び起こす。夢と現実を行き来するような、虚構で遊ぶ麒麟ならではの作品である。









※編集注:句集についての感想や一句鑑賞をお願いしたいと依頼したので、律儀に「句集について」と「一句鑑賞」を送って頂いたものである。

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