【俳句新空間参加の皆様への告知】

【ピックアップ】

2013年11月15日金曜日

【小津夜景作品 No.1 】   遠近法と灰猫   小津夜景 





   遠近法と灰猫    小津夜景



奥行きのある廊下など今は無く立てずに浮遊している、なにか(松木秀)
私は二つの戦争を見てきたが、そのどちらでも戦わなかった。私は誰も殺しはしなかった。
恐らくそれだから、誰も私を殺さなかったのだ。(ジャック・プレヴェール)



サモワール静心なく冬戦

ラジオ今無罪判決モヘア編む

居留守の神を見てしまい湖を愛す

記憶的寒波の《Les Editions de Minuit(深夜叢書)》哉

灰ねこは泥舟崩ゆるごとく抱く

ふゆいちご空間(ところ)と時間(とき)のふたなりに

わが生(よ)割愛するなかれ日記購えど

梅さぐるたび戦争が勃ってくる

微温浴室(テピダリウム)のごときマントが祖国より

名づけえぬもの肉叢を踏み分け雪



【略歴】
  • 小津夜景(おづ・やけい)

     1973生れ。無所属。

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