今回は贅言も不要と思うので作品だけを列挙する。
【食糧難】
粗食ゆゑにあはれ風邪さへながびくや 冬雁 22 大野林火
米櫃の底かく音す五月冷え 石楠 23・7 辛崎修羅
まだ青き稲刈りて食ひつなぐなり 浜 28・2 増田達治【飢餓】
飢うる街あかい氷菓に唇よごす 太陽系 21・6 水谷砕壺
わが重きギリシャ辞典と飢ゑてゐし 太陽系 21・7 小田武雄
百方に餓鬼うづくまる除夜の鐘 俳句研究 21・7/8 石田波郷
ひもじさと孤独に耐えて寒燈下 ホトトギス 21・8 山下雨畦
大き飢の妻の夏痩すさまじき 太陽系 21・9 三保鵠磁
飢ゑかくす術なかりけり天の川 現代俳句 21・11 志摩芳次郎
飢餓といふさへ忌々し牡丹活けぬ 現代俳句 21・11 渡辺水巴
飢ゑしなむてふのみ霜の石また石 寒雷 22・3 加藤楸邨
飢餓の毛穴黄色冬の陽も黄色 風 22・4 佐々木邦彦
子等に飢餓なきごと裸婦の額かかげ 現代俳句 22・5 火渡周平
ひもじさを夕鶯にこらへつつ ホトトギス 23・4 那須ちとせ
飢ゑと寒さ人は言葉をもてあそぶ 曲水 23・4 吉村芝水
飢餓ふかしこの飽食の牛を見る 太陽系 23・8 京谷保夫
鉛筆の屑を炭火にくべて飢う 浜 24・5 中村青螺
この飢ゑや遠くに山羊と蹴球と 風 29・7 佐藤鬼房
冬隣芋のつぎ何を食すべきか 早桃 大野林火
餓鬼となるわが末おもふ夕霞 旦暮 日野草城
引き据うるわが俳諧や飢餓の前 旦暮 日野草城
あやめ活けて萎果鶴まで飢幾度 雨覆 石田波郷
永き日の飢ゑさへも生いくさすな 銀河依然 中村草田男
飢餓線といふ語うべない焚きけぶらす 野哭 加藤楸邨
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