【俳句新空間参加の皆様への告知】

【ピックアップ】

2022年3月25日金曜日

第22回皐月句会(2月)[速報]

投句〆切2/11 (金) 

選句〆切2/21 (月) 


(5点句以上)

9点句

春の島ごろごろしたる石が墓(西村麒麟)


やはらかく針をつまみて針祀る(渡部有紀子)

【評】 「やはらかく」が良かったです。──仙田洋子

【評】 「やはらかく」が良い。──渕上信子


8点句

世に合はぬ像は倒され冬ざるる(内村恭子)


7点句

回天や海鼠を切れば水溢る(中村猛虎)


6点句

初蝶来監視カメラをすり抜けて(仲寒蟬)

【評】 初蝶来と監視カメラの取り合わせが面白いです。──水岩瞳

【評】 社会批評の句である。「初蝶来」とくればまず虚子の句を思い出すが、監視カメラとくれば当然現代の句。「何色と問ふ」「黄と答ふ」は監視カメラの中の回路のデータ処理のありさまだ。それにしても我々は何と監視カメラに慣れてしまっていることか。映画「パピヨン」の主人公の様にそうした監視社会をかいくぐってゆく姿を痛快と思う。──筑紫磐井


5点句

古雛や涙の如く目が光り(西村麒麟)

【評】 古雛のぼやけた顔に目の白い欠片が見えました。展示されている古雛のようでもあり、現役の雛だとしても情の感じられる句でした。──青木百舌鳥


もの言はず夜の社食に取るマスク(青木百舌鳥)

【評】 実感あり。──渕上信子


(選評若干)

黄梅や運河にひとつ灯あり 2点 依光正樹

【評】 手堅い句。──仙田洋子


梅が枝や空手の技の交差せり 3点 篠崎央子

【評】 今年の梅見は手技足技にしか見えないだろう──千寿関屋


裸木や影なきものを走らせて 3点 田中葉月

【評】 中七、下五から、広大な荒涼とした地が浮かぶ。それが裸木の存在感を稀有なものにしており、て止めによる上五へのリフレインが、モノトーンの世界をよりモノトーンにしている。──山本敏倖


白鳥が憎む白鳥ウクライナ 4点 松下カロ

【評】 ウクライナ情勢のことと思って読むと、悲しくもあり、避けられぬことなのか、という思いも湧く。──佐藤りえ


天涯やブロッコリーを抱きしまま 2点 田中葉月

【評】 厨房の材料をつかって、いわゆる台所俳句を抜けたい、という気がしているのが、どうしても、宇宙的な世界を対置してしまう。これもそういう台所俳句の新しい典型、というべきだが、だが、そのなかでも奇抜かつ落ち着いた取り合わせだ。ブロッコリーの、あの白っぽい暗緑色、案外複雑な空間が詰まっている。胸に逢欠けるほどおおきくみのったそれには、青臭い乳首が無数にひしめいている。天涯とはどんなに甘い場所なのだろうか、と、青いゆで汁を打捨てながらぼんやりかんがえる・厨房は放心の許される楽園-これこそ天蓋の内部なのである。男子に厨房を奪われてなるものか。作者の男女をとはず、ここ厨房は解放区なのである。料理好きな人たちは、この女子の占有を憎むだろう。──堀本吟


梅開く独りのマスク外しけり 2点 渕上信子

【評】 いわゆるコロナ関係の句でしょうが、コロナを離れて読んでもいいですね。──仙田洋子


バケツだけあつて此処です雪達磨 4点 水岩瞳

【評】 雪達磨を作ってバケツをのせて完成! ただ肝心の達磨の部分が…。作った本人にしか雪達磨と判別不能なようで。。。

「此処ですよ。此処にありますよ」とまるで雪達磨自身が主張しているみたい。かたちも目に浮かぶよう。楽しくなる句。──依光陽子


肘枕して枯芝にひるやすみ 1点 岸本尚毅

【評】 「枯芝」ならではの味。冬日を感じます。──仙田洋子


笊で売り返しも笊や蜆売 3点 松代忠博

【評】 蜆売自体がもはや伝説。笊で売っていた、ような気もする。返しとはお釣りのことか。釣銭を笊で返すというのがまたいい。──仲寒蟬

【評】 十七音の中での、〈笊〉という小道具の働き。殻のぶつかり合う音が聞えて来ることで、質感の層が一つ増えて、妙味を加えていると感受します。──平野山斗士


遊園地閉ぢむささびの飛ぶばかり 3点 内村恭子

【評】 むささびが飛ぶような遊園地は何処だろう。寂寥感が漂う。──小沢麻結

【評】 夕刻に開園時間を終えてとも読めるが、長年親しまれてきた遊園地の閉園と読みました。めぼしい遊具は外されて主に樹木が残されている。古代杉のてっぺんから滑空するムササビはむろん我が物顔にちがいない。──妹尾健太郎


春来る豆撒かざりし我が家にも 4点 渕上信子

【評】 季重なりの妙。生活感のある句。


大寒や柔軟剤を足している 3点 山本敏倖

【評】 柔軟剤の柔らかな色や匂いが大寒の尖った寒さを和らげてくれそうな気がします。──篠崎央子


剪定の樹上にをりてスマホとる 1点 青木百舌鳥

【評】 庭は広く、複数で仕事をしているのだろう。今どきの植木屋さんらしさ。──渕上信子

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