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2020年3月13日金曜日

【新連載・俳句の新展開】句誌句会新時代(その二)・夏雲システムの破壊力  千寿 関屋

◆はじめに
 インターネットでは日々新しい出来事が生まれている。いや、インターネット上で日々誰かが新しいサプライズを提供してくれている。これから紹介する「夏雲システム」は野良古(のらふる)さんがインターネットで開く句会のために新しいサプライズを提供してくれるシステムである。
 今回は、インターネット句会をサポートする夏雲システムを、テーブルを囲んで開催する実際の句会で利用すると句会の進行・運営方法がこれまでに比べてどう変わるのか、どんなサプライズを受けるのかを紹介させていただきます。

◆そもそも句会とは
私が参加し始めたころの句会は、ごく普通に、ごく当然に、短冊に作品を記入して”投句“し、割り当てられた短冊の作品を選句用紙へ”清記“するという流れで営まれていました。文字を丁寧に書く作業・選句用紙を作成する作業が句会の貴重な時間のかなりの部分を占めていました。句会といえばこういうもの、と決めつけている方は現在も多く居られるでしょう。しかし私は最近、筆記用具を持たずスマホだけ持参していただく句会を開催できるようになりました。その立役者が野良古さんの提供する「夏雲システム」です。ちなみに会の名称は「和祝(わいわい)句会」です。よろしくお願いします(笑)。

◆短冊なしで作品を投句する
 “短冊なし”と言っても、投句しなければ句会になりません。投句はスマホで行います。夏雲システムの投句画面を表示し、画面の指示に従って作品を入力、その後“送信”ボタンを押して投句を完了します。和祝句会では題詠二句、雑詠四句の六作品の投句をお願いしています。投句済みの作品の変更は定められた締切り時刻まで何度でも可能です。

◆選句と選句用紙の代わりの投句一覧
 選句は選句用紙の代わりに夏雲システムがスマホ画面に表示する“投句一覧”で作品を鑑賞して行います。もちろん選句の際に選評を書き添えることもできます。

◆投句一覧の配布
 和祝句会では投句締め切り後に、先に紹介したネットプリントで投句一覧を印刷し各参加者に配って使用しています。A4サイズの紙一枚に最大三十句を掲載でき、印刷時に“二枚をA3サイズ一枚に印刷”を指定することで六〇句までなら最低料金の一枚二〇円で印刷できます。これを参加者の数だけ印刷し配布しています。参加者は筆記の必要がなくなって余裕のできた時間を有効に使い、配られた投句一覧で作品をじっくり鑑賞できるのです。もちろん、句会後の懇親会(という名の飲み会)でも、その投句一覧は大いに活躍します。
 夏雲システムを利用することで筆記に費やす時間を短縮し俳句作品自体の鑑賞に活用することができるので句会の参加者には大変に好評です。
私は夏雲システムのこの破壊力に感動しました。要するに、夏雲システムを利用すると座の句会がとんでもないことになるのです。そして、夏雲システムとそれを開発した野良古さんは俳句史に名を留めることを確信しました。
 さて読者の皆様は、当然これまで慣れ親しんだ句会の進行・運営方法を確立していることでしょう。また、これからも変わらずに続いていくとお考えのことでしょうから、今になって句会の進行方法を変えることに嫌悪感や違和感を抱かれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、出来れば“夏雲システム”を実際に体験していただき、その素晴らしさを感じていただけないでしょうか。

◆夏雲システムについて
 さて、“スマホで句会進行をサポートする”仕組み“夏雲システム”について若干の補足を書いておきます。
 夏雲システムは、私の句友である野良古(のらふる)さんが作成したものです。野良古さん自身による夏雲システムの紹介ページがありますので参照ください。
 https://nolimbre.wixsite.com/natsugumo
 「夏雲システムは、インターネット句会のためのシステムです。投句も選句も簡単にできて、句会進行もスムーズ。結果は自動的に集計されます。縦書きでの鑑賞や参加の記録など、役に立つ楽しい機能も。今もなお進化を続けている句会システムです!」と、野良古さんは夏雲システムのホームページで紹介しています。
私が夏雲システムを使ってみて感じた特徴は、インターネットを使うことで参加者の地理的な障壁を無くし、句会への参加のハードルを低くするシステムであること。また、短冊の記入や投句一覧への清記をすることなしに句会を進行できる魔法のようなシステムであること、です。
 文章で伝えるのは難しいですが、実際に体験していただければ、その魅力、その効果が絶大であることを感じていただけるはずです。
 おそらくこのような変化は今後も激しく続いていくと思いますが、“夏雲システム”はその牽引役となり、使われ続けていくと思います。
 “夏雲システム”は野良古さんのご厚意により今のところ無償で提供されており、二〇二〇年二月下旬の集計では、開設句会は百以上、投句された俳句は累計三万句超え、選句は十万評を超えているとのことです。
 私は和祝句会の他にも“夏雲システム”を利用していくつかのインターネット句会を開催しています。ご興味がございましたらお気軽にお問合せください。

◆おわりに
 二回にわたり、私の俳句にまつわる楽しみ方を二つ、気ままに紹介させていただきました。
 一つはツイッターで句会を興行し“ミニミニ句集”を日本全国の読者に素早く頒布すること、また一つは、スマホを使い“夏雲システム”を利用して筆記する手間のかからない句会、楽をして濃密な句会を楽しむ方法ついてでした。
 今回、このような機会を与えていただいた筑紫磐井さん、また斡旋していただいた妹尾健太郎さんにたいへん感謝していることをお伝えし、お終いとさせていただきます。

2 件のコメント:

  1. 大変参考になりました。

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  2. 私もこの3年、コロナ禍で夏雲システムを使わせていただいています。年配者の多い会ですが操作のためにPCやスマホに馴染むようになった人や、若い会員も増えて、思わぬ副産物が生まれました。いまだお目にかかったことのない野良古さんですが、感謝の気持ちでいっぱいです。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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