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2018年8月10日金曜日

【夏休み特別企画】文庫・新書で読む俳句



前回に続き新書で読める俳句集を—とさがしたところ、所謂新書版で刊行された句集以外はヒットしなかった。
そのため今回は少し趣向を変えて、俳句に関連した記事のある文庫・新書を紹介する。
書影とアマゾンへのリンクを掲載するが、すでに品切れ・絶版となっているものも含まれるため、ご留意いただきたい。





現代作家100人の字 /石川九楊(新潮文庫)
北川透谷以降の作家100人の筆蹟(モノクロ図版アリ)を書家ならではの着眼点から読み解く本。ひとりひとりへの言及は短いが文字形、運筆から道具にまで及ぶ細かな観察と、書き文字の変遷をも含んだ示唆が興味深い。俳人からは万太郎・草田男・楸邨・波郷が収録されている。滝井孝作の項において、師・碧梧桐への言及もなされている。
http://amzn.asia/3ENGXFt



杉田久女随筆集 (講談社文芸文庫)
久女の関連書籍といえば小説や評伝のほうが先に眼にはいってくる感がある。当書では代表句・随筆・俳話、俳論がコンパクトにまとめられている。解説で宇多喜代子氏が述べられているように、短編小説の趣のある随筆「竜眼の樹に棲む人々」「出石まで」などもおさめられている。
http://amzn.asia/db9XFqP


珍本古書/高橋啓介 (カラーブックス)
保育社「カラーブックス」のなかの一冊。特装本、稀覯本の書影と書誌を集めた本。内容についてはあまりふれられていない。「特に珍しい句集」の項に秋桜子『葛飾』草城『銀(しろがね)』誓子『凍港』などが載っている。書影は残念ながらモノクロで小さく見づらいが雰囲気がわかる。
http://amzn.asia/d3KvbZP



新編 俳諧博物誌/柴田宵曲(岩波文庫)
ルナール「博物誌」にならい、動植物のテーマごとに俳諧に評釈をくわえた随筆集。芥川竜之介や柳田國男、『徒然草』『詩経』『和漢三才図会』など幅広い記事を参照しながらの評釈が愉しい。その筆致は季題の検討にとどまらず、民俗学的考察を含んだものとなっている。
http://amzn.asia/17Y5N4z



尾崎放哉随筆集 (講談社文芸文庫)
年代別に抜粋された俳句から、漱石に刺激を受け記したとされる随筆「俺の記」や「入庵雑記」、書簡などがおさめられている。書簡の文章の圧に圧倒される。
http://amzn.asia/9IWM8jx



怖い俳句/倉阪鬼一郎 (幻冬舎新書)
ミステリ・幻想文学作家であり俳人でもある著者が、芭蕉から現代の若手の作品まで、独自の「怖さ」を見いだして鑑賞していく俳句アンソロジー。直接的な怖いオブジェクトを含まない〈目と鼻をまだいただいておりません/広瀬ちえみ〉〈草二本だけ生えてゐる 時間/富沢赤黄男〉なども掲載され、ひたひたと読み解かれていく。著者はこの後テーマを異にした「猫俳句パラダイス」「元気が出る俳句」も著している。
http://amzn.asia/hgD4l73



百人一句―俳句とは何か/高橋睦郎 (中公新書)
『小倉百人一首』にならい、古事記の旋頭歌から現代の前衛俳句までを視野に入れた「百人一句」を試みた一冊。各項は各俳人の評伝でもあり、俳句の通史をたどる一冊にもなっている。
http://amzn.asia/eURpDVE

(文責:佐藤りえ)

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