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2014年9月26日金曜日

平成二十六年夏興帖, 第五(竹岡一郎・安里琉太・大井恒行・堀下翔・水岩瞳・寺田人・川嶋ぱんだ・島津雅子)



竹岡一郎  (「鷹」同人)
蟹星雲産んで溽暑のとほき股
ラムネ玉昏い子供 のために鳴る
水母放ち海底火山死につつあり


安里琉太(1994年沖縄県生まれ。銀化会員、群青創刊同人。琉球大学俳句研究会a la carte会員、俳人協会会員、沖縄俳句協会庶務。第九回おきなわ文学賞俳句部門第一席、第二回俳句四季新人奨励賞等。)
手花火や峡の真闇に背をあづけ
すぐ果つる迷彩柄の手花火よ
花火もて追ひかけあつてゐたりけり
手花火の煙に龍のなんのその
猫除けの水に捨てたる花火かな
不発なる花火にすこしすこし寄る
手花火に飽きて煙のなかにをり


大井恒行
みょうに明るき晩年はやし夏鏡
火の蔦のがんじがらめに生死(しょうじ)かな
下にいて葉桜もまた暗き木か
鳥衣の白を尽くして葉月潮


堀下翔 (「里」「群青」)
指先に汗かいてゐる碁なりけり
みづうみの広さのボート乗り場かな
塗りそびれた塗り絵のやうな夏の蝶


水岩瞳
少年傾ぐ黒きカバンのありて夏至
ゴーヤーチャンプルー旨し選択の自由は尊し
とはにとはに我の負け也草むしり


寺田人(「H2O」「ふらここ」「くかいぷ」「くかいぷち」)
ヲルガンの呼気で歌へり聖五月
氷室にて一角獣の眠りをり
コペルニクス追放の向日葵畑
旅にナイフ地図と草笛あればよい
水銀に触れる指先桜桃忌
炎天の陰てふ死角鳥高し
風鈴の音を溜める夜の六畳間


川嶋ぱんだ(「ふらここ」)
少年の紐だらしなく持つ金魚
二人して打ち上げ花火見てた写真
夏めいてしかしプリンは喋らない


島津雅子(1994年生。北海道出身東京都在住。)
木苺は纏足脱がすごとく摘む
割れるときすこし海月になるビーズ
どの貌も向かひあへずに芙蓉咲く



1 件のコメント:

  1. 水岩瞳さんの掲載句の表記が不完全でした。訂正してお詫び申し上げます。

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