蛸嬲りても三界に癒える無し
蛸まみれなる廃園を逃げ惑ふ
松原の蛸屋敷にてすつてんてん
蛸統べる者陸戦を制すらし
まどろみの不死鳥に蛸絡み死(じに)
逢坂は蛸の占領下にあります
蛸裂けば骨笛ありぬ吹けば崩る
蛸夜ごと窓を叩くをもう聞くな
七月四日蛸匿ひて真珠湾
水鉄砲蛸元帥の脳撃ち抜く
七夕の泣き止まぬ蛸撫でてゐる
不夜城に幸せならば蛸叩く
大蛸は常世を広げ征きたいの
革命は蛸である神はまだ無い
蛸さすらふ一輝の脳標本どこかに
【作者紹介】
- 竹岡一郎(たけおか・いちろう)
昭和38年8月生れ。平成4年、俳句結社「鷹」入会。平成5年、鷹エッセイ賞。平成7年、鷹新人賞。同年、鷹同人。平成19年、鷹俳句賞。
平成21年、鷹月光集同人。著書 句集「蜂の巣マシンガン」(平成23年9月、ふらんす堂)。
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