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2014年3月21日金曜日

【俳句作品】 平成二十六年 春興帖 第三

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     飯田冬眞(「豈」同人、「未来図」所属)
ふくらはぎ揉んでにこにこ紀元節
戦ひを忘れたる国雪中梅
起立礼遺族黙禱鳥雲に

     藤田踏青(「豈」「層雲自由律」「でんでん虫の会」)
春泥踏みしめ強情な転轍手
カクレンボウ 何ごともなく佐保姫と
吃水線のそこここで呟く流し雛
深爪に語りかけゆれる春灯
春寒をはみ出している無精髭
壬生狂言 蠢くものに救われて

     もてきまり(「らん」同人)
鬱ボタン一つはずして春衣
水搔きで鬱出てみればなほ朧
Que sera sera自我とからし菜炒めけり

     関根誠子
知らぬ事はすぐに信じて桃の花
風花や続いて済ます七七日
飛花落花犬の横顔が笑って

     西村麒麟
春雪の神奈川を出る電車かな
羊羹を語つて楽し凧市に
埼玉へ進む電車の長閑さよ
川越の春や大きな玉こんにやく
ぜんまいののの字の事はもういいや

     福田葉子
魂一つ連れて重たし鳥雲に
沖遥か未生の町立つ貝櫓
夕されば亀鳴く丹後思えらく

     花尻万博
現し世の道の短さ蓬摘む
畦焼や四方へ昏れる、昔情死
碑の余白 蓬摘む鬼入れ光る
畦焼を冷ます遠くの水面かな
鬼の子と思ふ蓬に遊びもして

     竹岡一郎(「鷹」同人)
嫁入の峠あかるむ蕨かな
上方の雛運んで津軽まで
春祭玉乗狐土人形



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