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2014年2月7日金曜日

【小津夜景作品 No.11 】  ふかくながい破滅   小津夜景

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   ふかくながい破滅   小津夜景

読むことの快楽? 
私、つじつまが合はなくてそのまま進んでどうしやうもなくなつて、と言つてもどうするつもりもなくて、帳尻を放棄したまま死んだところでおしまひつて話が好き。反予定調和な。 
……と言ふと思つた? 言ふわけないわ。破滅は大団円よ。だつて真に純粋な帳尻が避けやう    もなく世界に齎されるんだから。私さういふのがヤなの。わかつてくれる? 破滅はみんなに愛    されてゐる。その味はひが簡単に想像できて、快楽の初学者にも民主的に開かれてゐて、もう 最悪。


春昼をひらきし窓といふ失語

春百舌のしづもるるモノロオグなれ

うららかをささげもつ手のてぶらかな

シャツ戦ぐまひる告天使のやうに

きぬぎぬのあさつきぬたの柔らかさ

さらばとは聞かで消えたるのどかさの

春蝉を食みてきよらでぐうたらで

ラヂオふと死喩をあふるる春紅茶

朧夜のラ・フォンテーヌ茶房かな

かぎろひの五言よ永久に絶句せむ






【略歴】
  • 小津夜景(おづ・やけい)

     1973生れ。無所属。

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