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2013年12月20日金曜日

【第二回攝津幸彦記念賞・佳作】 アラッバプー族の場合 山田露結

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第二回攝津幸彦記念賞・佳作受賞作五十句

   アラッバプー族の場合 山田露結

彼は詩の虜リコーのどが渇いている
ケリーは仏身何らかの手段で世界に水を汲む
未知の苦や無口の卵ダイエット
クリムゾンベビーシッターが嘆く思想の巷
ラム彗星猿の日に干す新しい希望
パトリオットとサスペンスに満ちた愛のピンク電話
仮の世の仮の姿の美処女カナ
システムにぶら下がって美しいアヒルの高揚感
カッパ帝国体罰はカッパサウンド
皇帝ボブピアン今年の秋を鎮め
美しい血脈アラッバプー族の場合
バックチドリ類その悲しみの首に正体
姉アゲハ超電導体の極端な孤独に達し
サルが買うサル飼うサルのヒエラルキー
輪廻転生とその可能性を示すアンダーショーツ
赤い蛾は速度を見つけられるのか
大豆または黄色人種を乾燥させたり
神がもたらした楕円や波の理由
揉み洗うと亜細亜のにおいのする女
また覇王母の鉄道網と夏
昼間の愛人のような液体
門渡りに無駄仏アラムあらわれて
ベシ湖から寂しい馬に乗ってゆく
父一人戻ってひとりチチバンド
全盲ナリーのためのベスト性欲
肉林の肉のひとつはかつて母
白象の白を剥がして姉が狂う
万歳前夜に花火帝国のオリエンテーション
偽太陽をぶら下げ人妻アーリの咆哮
まら燃せばまらまら燃えるでかまらも
発毛や女子高生のワビサビ煮
昭和ガラスに結露はじまる
マンサニヨバラミル国の外厠
はじめてそんな空気の薄い氷の上を歩いた
猫の木に猫の花咲くメケリ寺
さくらさくら日本は嫁を表示せず
汁飛ばし鈍父に続く世界の人々
青い鳥の青い陰茎よ
穴あればモガナの民の流れ着く
全国防火週間あなたの母は炎のまま?
衛生委員古い未来を積み残す
昼食は鶏のオヅウンルルパトダ
うつし世の全米販の「お米券」
女の家に入る小鳥のうしろに月の最期の日
頸動脈無効の首で仰ぐ宇宙神
IRU星は強い電波を放っている
仏身ケリー身を灰にしてケリーは偽名
月硬化の光の異常なにおいがある
ハウタガイトウルカグァ王、秋の精神で倒れ
亡国へ光フルフル錯乱母


【作者略歴】

  • 山田露結(やまだ・ろけつ)

昭和四十二年生まれ。愛知県在住。「銀化」同人。句集『ホームスウィートホーム』。共著『俳コレ』、『再読 波多野爽波』


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