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2013年11月1日金曜日

【俳句作品】 平成二十五年 冬興帖 第一


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     池田澄子
いま行った電車に彼が居た 寒暮
大寒の使う手のひら指の腹
チョコレートならある雪もあんなにある


     福永法弘(「石童庵」庵主)
なりたきは旅の連歌師傘の雪
かのクラーク博士も召さる白鳥羹
目つむりて手かざせばほら寒椿


     杉山久子(「藍生」)
道端の氷見つける端から割る
金つばにたのもしき餡雪籠り
狐火の内の緑を妄信す


     月野ぽぽな
渋滞の音ほの白き夕時雨
人間を隠す外套の漆黒
指のせて鍵盤は雪のつめたさ


     藤田踏青
木の葉のように人を集め鎮もるサイレン
にんげんの哀を傾けオリオン座
雪が降るエンデイングノートの空白に
亡びた言葉がゴロゴロと冬の運動場
湯気にくもるニュースは初雪


     中山奈々(「百鳥」「里」)
冬帽を二つ挟んで妻の顔
冬帽の二人とも貴方の子ども
冬帽の色か黒子で見分けたる
冬帽のよく笑ふ歯抜けで笑ふ
冬帽は悪童冬帽は双子


     中村猛虎(「ロマネコンテ」同人・句会「亜流里」代表)
訳ありて裏山に狼を捨てにいく
けんけんぱけんぱけんぱ色鳥来
遊廓の投げやりな手の暖かし
恋の猫癌の転移に少し似て
寒紅のくちびる別のいきものよ


     水岩瞳
逝く秋は女を少女にしてしまふ
寒オリオンふとやってくるさやうなら
連打して冬の怒涛になるピアノ



  • 秋興帖(追補) 


     矢野玲奈
臨月の腹に届きし月明り
外に出でて夫の帰りを待つ良夜
産み月の一夜一夜に秋深む


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