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2013年10月25日金曜日

【俳句作品】 南紀  花尻万博 (2011年5月27日「詩客」より転載)

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   南紀    花尻万博


白藤に波放さざる古江かな

すぐに木を移る言霊ひこばゆる

   「然り、ただ死し、行け」 バイロン「安らかな死」より


春愁ひ新の斧の柄漂へり

磯風に身を巻き直し母猫よ

    大和国と紀伊国の国境


果無しの果てのまほらま母子草

葱の花頭大きは俳人なる

    いつかは平等に海の底に


耕すは矢面に立つ思ひせり

黒潮の波曳きたがり鳥の恋

     長男時季(とき)授かる、少し患ふ


吾子抱けば春の日傘を笑はれず

溺愛の続き巣燕やも知れず



【作者紹介】

  • 花尻万博(はなじり・かずひろ)

1970年和歌山生まれ。和歌山県在住。
句集参加『現代俳句精鋭選集Ⅰ』(東京四季出版)、『現代俳句100人20句』(邑書林)。

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