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2013年7月26日金曜日

【俳句作品】ニ十四節気題詠句 その七 (依光陽子 二十四句)



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          依光陽子(「クンツァイト」「屋根」)

(立春)
四大みな揮うて春の立ちにけり

(雨水)
雨水なる線描の彼(あ)は魚か蛇か

(啓蟄)
啓蟄や壁から乾く高層階

(春分)
春分や乱丁本に指をさし

(清明)
清明や啼くためのみの嘴ならず

(穀雨)
生垣はいつから垣に穀雨かな

(立夏)
鶏三羽放つ立夏の原宿に

(小満)
小満や鳥は符牒をうち交はし

(芒種)
水かけて苔玉太る芒種かな

(夏至)
夏至の日の天蚕糸に吊るは紙の星

(小暑)
音せぬやうぬぐふ鍵盤小暑なり

(大暑)
蝶の舌大暑の巌を割りにけり

(立秋)
秋立つや曜変天目茶碗の青

(処暑)
てのひらを苔に伏せたり処暑の庭

(白露)
ささくれし畳と見たる白露かな

(秋分)
秋分やほろほろ折るる雲丹の棘

(寒露)
赤犬を昔喰ひしと寒露の父よ

(霜降)
近道をせず霜降の影と交はる

(立冬)
立冬や故人の指のむらさきの

(小雪)
雲に跼めば小雪のせんなき石

(大雪)
大雪即絶対安全剃刀の極光

(冬至)
雨樋は曲がり冬至の日は沈み

(小寒)
小寒のめでたき歯朶をとぶ胞子

(大寒)
大寒や玉砂利を踏む真直ぐな脚


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