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2013年7月19日金曜日

【俳句作品】二十四節気題詠句 その六 (本井英 二十四句)

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                      本井英

(立春)
立春や街は空へと空へと伸び

(雨水)
トラクター売つて歩いて雨水なる

(啓蟄)
啓蟄の雨が沁みいる国土かな

(春分)
約束の彼もどる春分の月

(清明)
山を越ゆれば清明の海がまた

(穀雨)
穀雨なる皺にたつぷり美顔水

(立夏)
辞令受く立夏のシャツは純白に

(小満)
小満の恋の順序もほぼ解り

(芒種)
オーベルジュ芒種の丘に名ばかりに

(夏至)
夏至の窓気まづく家族会議了

(小暑)
投票所に小暑の風の通ふかな

(大暑)
病名を告知されつつ大暑なる

(立秋)
天守閣の耐震工事秋立てる

(処暑)
処暑に笑ひたりなベトナムコミュニスト

(白露)
恋と呼ぶには淡すぎる白露かな

(秋分)
秋分の集ひや恩師なほ健に

(寒露)
寒露なるホスピスの灯は明る過ぎず

(霜降)
霜降や欄干ばかり今戸橋

(立冬)
鳥島に魚釣島に冬の立つ

(小雪)
小雪の明朝(ミンチョウ)ふかく廃村碑

(大雪)
大雪や手書きの模試の順位表

(冬至)
同病ぞ冬至の没り日見まもりて

(小寒)
小寒のシャッター通りにべもなや

(大寒)
大寒や来世金めきポケットに



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