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2013年7月12日金曜日

二十四節気題詠句 その五 (小林千史  二十四句)


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小林千史


(小暑)
小暑産卵の虫前進しつつ

(大暑)
ビルの腹暗く重たき大暑かな

(立秋)
立秋の裏返る葉のもろきこと

(処暑)
処暑の道得たる風体にて歩く

(白露)
赤ん坊の白露の声を聴かせつつ

(秋分)
秋分の未来図に這ひ寄る小虫

(寒露)
恣意のまま水静かなる寒露かな

(霜降)
霜降の金泥濁るとは見えず

(立冬)
立冬やほのあたたかき波々架の木

(小雪)
小雪の水にも裏返る時が

(大雪)
大雪や人口ピラミッドは崩れ

(冬至)
ものの影スフィンクスめく冬至かな

(小寒)
小寒のタオルしごいてでてゆけり

(大寒)
前脚の不自由大寒の自由

(立春)
立春や顔だけ小さき猫がゐる

(雨水)
盤荒れて来たり雨水の目のやり場

(啓蟄)
啓蟄のそろりと曲がる草の先

(春分)
春分の直観ひたと水の味

(清明)
内地にはなき草の艶清明来

(穀雨)
鳥の尾の震へつつ垂れ穀雨の舎

(立夏)
立夏の日得ては黙つてゐる男

(小満)
小満のブログの言葉ちりぬるを

(芒種)
切麻散米(きりぬささんまい)芒種の土渇く

(夏至)
水の上空漲れる夏至の夜


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