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2013年3月15日金曜日

二十四節気論争(7)――日本気象協会と俳人の論争――/筑紫磐井編

4.参考資料

(1)24節気論争の経緯

(☆は気象協会の活動、●は俳人の活動、○はジャーナリズムの反応。()内は編者が発表文などから要旨をまとめたもの)

☆2011年2月22日気象協会発表

日本版24節気~日本気象協会は新しい季節のことばの提案に取り組みます~
(従来の24節気は古代中国で成立したため、地域や時代などの違いから日本の季節感と合致しないところがあり、現代の日本にはなじみの薄い節気の呼称がある。気象協会は、専門委員会の設置やメセナシンポジウムの開催などを通して、広く一般の方々からのご意見を募集し、2012年秋を目途に日本版24節気を提案する予定)


☆気象協会平成23年度事業計画

一般社団法人日本気象協会の公益目的支出計画事業として「一般市民への防災知識などの普及を図る事業」の1つとして「日本の気候風土に合った新しい24節気(「日本版24節気」)を提案する」ことと定める。


○朝日新聞5月10日/「日本版の24節気つくります 気象協会、意見公募も」

(気象協会が、日本の気候風土に合った新しい24節気(日本版24節気)を提案する事業を紹介)

●共同通信6月/片山由美子「俳句時評 俳句はいま」

(気象協会が、季語体系の中枢をなす24節気の見直しを提案することに対する危惧)

●「俳句」8月号/片山由美子「伝えたい季語変化する歳時記20」

(気象協会の24節気の見直しの提案を紹介し、詳細に批判を行う)

☆8月/気象協会が全国4000名を対象に実施した24節気に関する認知度調査(楽天リサーチ株式会社協力)実施


☆12月9日気象協会発表

「日本版24節気 専門委員会」第1回を開催しました(12月8日)
(気象協会が提案する、より親しみを感じられる「日本版24節気~新しい季節のことば~」について、天文学や日本語学など広い分野の専門家の意見を聞くため開催。専門委員会メンバーは次の通り。) 
委員長・新田尚氏(元気象庁長官)
  • 安達功氏(時事通信社編集局長)
  • 石井和子氏(元TBSアナウンサー、
日本気象予報士会顧問)
  • 岡田芳朗氏(暦の会会長)
  • 梶原しげる氏(フリーアナウンサー、
東京成徳大学応用心理学部客員教授)
  • 片山真人氏(国立天文台暦計算室長)
  • 長谷川櫂氏(俳人、朝日俳壇選者、きごさい代表)
  • 山口仲美氏(明治大学国際日本学部教授)

☆2012年1月25日気象協会発表

第3回日本気象協会メセナ 「季節が薫るひととき」を開催(2012年2月10日(金))
 (4名の専門家を迎え、日本の気候や日本人の季節感、24節気などについて語る。パネラーは、岡田芳朗(暦の会会長)・梶原しげる(フリーアナウンサー)・長谷川櫂(俳人、朝日俳壇選者、きごさい代表)・前田修平(気象庁地球環境・海洋部帰国情報化予報官))

☆2月20日気象協会発表

第3回日本気象協会メセナ 季節が薫るひととき 開催報告
(暦、俳句、気象の各分野の専門家により、24節気はいつごろ作られたのか、いつ頃日本に伝わり、どのように使われてきたのか、そして、その頃の気候はどのようなものだったのか、また、日本人の季節感は、日本の四季を通してどのようにして育まれてきたのかなどについて議論。以下は編者による抽出)
小林堅吾気象協会理事長「新しい24節気を提案してみたい、ご意見を頂戴したい」
岡田芳朗「24節気は機械的であり、過去それなりの価値はあったが、現在季節を表すのにぴったりであるかは問題がある。」「24節気ではなく72候は江戸時代に日本版72候を作ったことがあるが、地域ごとに異なるし結局普及しなかった。やる意味があるかも知れないが、気象協会が提案してやるものではなくて地域で考えるべきだ。」「24節気はいじらないで別に親しみやすい言葉を探してもいい。」
長谷川櫂「暦と季節感はずれているのが日本の文化であり、フィクションを愉しむものである。」
前田修平「1ヶ月を2つに分ける(24)節気は、現在気象庁では使わない。上旬中旬下旬という月を3分割した36(10日なので「旬」という)を用いる。さらに72に分けた「半旬」(5日)を用いることもある。」

●東京新聞2月25日/筑紫磐井「俳句月評 立春が消える?」

(気象協会の24節気の見直しの提案を紹介し、立春や立秋が消えたりするおそれを指摘)
☆気象協会平成24年度事業計画
気象協会の公益目的支出計画事業の「一般市民への防災知識などの普及を図る事業」を「日本の気候風土に合った新しい季節のことばを提案する」と改めた。

●俳句四季4月号/筑紫磐井「俳壇観測 日本気象協会の24節気見直し」

(気象協会の24節気の見直しの提案を紹介し、気象協会の主張の矛盾点や問題点を詳細に批判)

○日経新聞4月9日/「「24節気」見直し論議 季節感や言葉 現代風に」

(気象協会の24節気の見直しの提案を紹介し、岡田芳朗、長谷川櫂、山口仲美氏らの意見を紹介)

○中日新聞4月29日/「「24節気」に日本版を!」

(気象協会の24節気の見直しの提案を紹介するとともに、気象協会は当初の方針を変えて、24節気を新しい言葉に置き換えるのではなく「新しい季節の言葉集」を作ることにしたと報告)

☆6月21日日本気象協会発表

24節気と季節のことばに関する街頭インタビュー調査報告
(24節気の芒種である6月5日(火)に、東京都台東区にある上野恩賜公園で、24節気と季節を感じる言葉に関する街頭インタビューを実施。一般人99人を対象に実施。)

●俳壇8月号/筑紫磐井「巻頭エッセイ 季節の文化の破壊」

(24節気の見直しは日本の文化の破壊をもたらすおそれがあることを指摘)

○俳句8月号/岡田芳郎×宇多喜代子×長谷川櫂緊急座談会「どうなる!?24節気」

(日本版24節気専門委員会委員2人と宇多が24節気見直し問題を論じる)

●7月28日「こもろ・日盛俳句祭」シンポジウム「私にとって季語とは パート2」(パネラー:気象協会金丸努事業課長、片山由美子、櫂未知子、筑紫磐井、本井英)。

金丸課長:「24節気の見直しは気象協会という技術集団の素朴な質問から発したもので、広く専門家の意見を徴することとした。その過程で、気象予報の先輩である倉嶋氏などいろいろな人から批判もあり、現在は、24節気は変えず、解説とか言い添える形で分かりやすくしたい、季節を今の言葉で言い表すことが大事と考えている。一方で季節の言葉を公募したいと思う。」
またこのシンポジウムに関連して、こもろ・日盛俳句祭会場での「24節気アンケート」、インターネット上の「24節気アンケート(最終集計)」により計184件の回答を得た。

●里8月発行号(名目3月号)/島田牙城「「輸入品の24節気とはずれがある」は間違ひだ!」

(俳句8月号/緊急座談会「どうなる!?24節気」の読後評)

☆8月15日気象協会発表



第4回日本気象協会メセナ 「季節のことば、今昔物語。」を開催(2012年8月31日(金))
(気象協会では、2011年度から「日本の季節を彩る新しい季節のことばの提案」に取り組んでおり、「季節のことば」を知る、使う、創ることをテーマとしたイベントをサンシャイン噴水広場で開催。)
第1部 「ことばと暦の歴史」
  • 梶原しげる氏(フリーアナウンサー)・石井和子氏(元TBSアナウンサー 日本気象予報士会顧問)・岡田芳朗氏(暦の会会長)・片山真人氏(国立天文台暦計算室長)・三遊亭右京氏(落語家)
第2部 「お天気キャスターのことばの使い方」
  • 金田一秀穂氏(杏林大学外国語学部教授)、お天気キャスター天達武史氏・南利幸氏・福冨里香氏
第3部 季節の言葉で遊ぼう!「お天気クイズ」 気象の知識うそ?ホント!!

●毎日新聞8月15日/片山由美子「揺れる24節気――」



(気象協会の24節気の見直しの提案、俳句8月号の緊急座談会、「こもろ・日盛俳句祭」シンポジウムを紹介し、気象協会としては、知られていない魅力的な季節のことばを紹介することの方が必要であると指摘)

☆8月16日気象協会発表



あなたが感じる「季節のことば」募集!
(気象協会では、現代の日本の気候風土や日本人の慣習になじむ季節のことばを募集して、現代人にとって身近な生活の指標となるものを提供したいと考えました。募集期間:2012年8月7日(立秋)~12月21日(冬至)。発表:2013年4月(予定)。各選定委員が季節ごとに収集作品を選考、優秀作品はホームページに掲載する他協会の広報活動に使用、作品の著作権等1切は協会に帰属、賞品:優秀作品に応募された方の中から1名に5万円相当の旅行券、その他多数。)

●8月17日/24節気を考える俳人の会(本井英・筑紫磐井・片山由美子)「24節気シンポジウムと24節気アンケート結果について」公表



(「こもろ・日盛俳句祭」シンポジウムに際して行われた24節気アンケート結果について取りまとめて新聞・雑誌等編集部に送付)

 

●東京新聞9月15日/筑紫磐井「俳句月評 季語に著作権が発生?」



(「こもろ・日盛俳句祭」シンポジウム後、気象協会が「季節のことば」が公募したが、その際、前例のない作品の著作権等1切は協会に帰属することを条件としているために、気象協会が新しい季語に著作権を主張するおそれがあることを指摘)
○毎日新聞9月27日/「〈日本版24節気〉俳句界などの反発で解説作りに方針転換」
(気象協会は昨年、名称を変更したり、時期をずらしたりすることも視野に入れ、日本版を作成するとホームページなどで公表した。これに対し、一般からも電話がかかるなど批判が殺到。これを受け、24節気それぞれに簡潔な解説を付ける方向に変換した。一方で「季節のことば」の公募を開始。)

●俳句四季10月号/筑紫磐井「俳壇観測 本井英が本気になったとき」



(本井英氏の主導で開催された「こもろ・日盛俳句祭」シンポジウムの経緯とその後の展開を報告)

●銀漢11月号/伊藤伊那男「24節気見直し問題」

(気象協会の24節気見直し問題、こもろシンポジウムの経緯、季節のことばの公募に伴う著作権問題への危惧などを指摘)

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